宴は終わる。新たな支配者を迎えて。
「こ、これはっ!!?」
「ヴィランデル様…!?」
「わああああっ! やっぱりこわいよお、ブランジェぇ!」
中庭は濃密な獣の性臭で満ちていた。暖かな闇の中に、白い獣が蠢いている。
低くすすり泣き、時折高い咆吼を上げ、大地に勢い良く粘液をぶちまける。
ブランジェが「ヴィランデル」と呼んだその美しい獣は、激しく凌辱される雌の鳴き声を上げながら、快楽に溺れもがいていた。
その背後に、淡い魔光が注いだ。
闇と一体化した漆黒のマントが天蓋となり、絶世の美を備えた侵略者の姿を飾り立てる。
「まあ…新しい奴隷が迷い込んできましたわね。
その様子では、ルキナさんにお会いしようと思われていたようですけれども……
でも、残念ですわ。この神殿の主は、今日この日から変わりましたの。
この私……ザラ=ヒルシュにね!!」
響きわたる凛麗な声を耳にして、三人は震えた。
恐怖ではない。この方の美貌と、力と、与えてくれる快楽への期待で。
そう。新たな支配者が、この神殿に降臨したのだ。