あまりにも美しい。あまりにも。
レオタードの中で、断続的に熱い液体が広がっていくのを感じながら、ザイナは震えていた。
コロンとブランジェも例外ではない。あのケイオスヒーロー…ザラの視線を受けただけで、触れてもいないペニスから精を漏らしている。
「まあ…三人とも、元気ですわね…」
ザラは艶然とした笑みを浮かべたまま、、凄まじい力強さで、ヴィランデルの尻を突き上げていた。
白い獣はもう上げる声もなく、地面を掻きむしって絶頂を迎え続けている。
ああして突かれたら……オレは……
ザイナはフラフラと、ザラに歩み寄ろうとした。
「ま、待てザイナ! その人は…ルキナ様じゃない…。まずは、ル、ルキナ様の…元へ…」
押しとどめるブランジェの声も弱々しい。
「ブランジェ…ボクも、もう我慢できない……あの人の中で射精したいよおぉ…」
コロンも虚ろな目をして、四つん這いでザラにすり寄る。
「……く……」
糸が切れたように、ブランジェも自らの男根を擦り始めた。
「フフフフ。可愛い娘達ですわ…
でも、今はこのケダモノを調教してやるのに忙しいんですの。あなた達のお相手は…」
眉一つ動かさず、激しく射精しているザラの指が、パチンと鳴らされた。
闇が、動いた。
「ファルカナ、おいでなさい…」
「はい!ザラ様っ!」
飼い主に呼ばれて子犬のような声を返し、その影は闇から飛び出してきた。
「……!」
一見、ザイナの表情が変わった。
何気ない仕草に隠された恐るべき瞬発力。鍛え上げられた柔軟な筋肉。このファルカナという混沌の戦士も、間違いなく格闘家だ。
「ファルカナ、そこのザイナというお嬢さんを、可愛がってあげなさい。格闘家同士ですから、すぐに仲良くなれますわ…クス…」
「はい、ザラ様! がんばります!」
向き直ったファルカナの股間…いや、胸元まであるペニスが、ピアスと服をひきちぎらんばかりにそそり立った。
「ま、ま、待てっ!! そ、そんなのっ…入るわけ…!!」
ザイナは後ずさりながら構えを取ろうとした。だが、ザラを見て以来乱れきった心では、アースト=セギーユを駆動する精神も練れない。
力無く突き出される拳も蹴りも軽々と捌き、ファルカナは足払い一つでザイナを転倒させた。
地面に激突して息を詰まらせたザイナに、ファルカナの逞しい四肢と巨大な乳房がのしかかる。
「た、頼むっ! そんなの、無理だっ!! オレは…オレ……は、初めて…なんだっ…だから、せめて…もう少し…
ぐああああっ!?」
その一撃は、今までに浴びたどんな拳撃よりも重く、激しかった。ファルカナの強靱な肉体が生み出す運動エネルギーが、体の芯を貫く。
細く引き締まった腹部の中で、筋肉と内臓が押し上げられるのを感じながら、ザイナは生まれて初めて泣き叫んだ。
ファルカナの逞しい腰のバネに乗って、熱い肉塊が体を出入りする。ぬるついた紫の触手が、レオタードの内側に潜り込んで肌を濡らす。
痛みはたちまちに和らぎ、ほんの三分の一程度しか入っていない巨根は、やがて凄まじい快感をザイナの子宮に撃ち込み始めた。
「はあぁっ…あ…くぅぅ…は…はっ…はっ…」
巨大なペニスで処女膜を引き裂かれ、ほんの数瞬前まで絶叫していたザイナは、今や陶酔しきった表情で身をくねらせていた。
「どう、あたしのちんちん、先っぽだけでもすっごく気持ち良いでしょ?」
「フフフ…ファルカナの触手は特別ですから、もう痛みも感じなくなってますわね。
体に溜まった快感が逃げ場を求めて、パンパンに膨れ上がってますわよ…」
ザラは硬く勃起したザイナのペニスに目を留め、上品に唇の端を上げると……
また、指を鳴らした。
「ザラ様! お呼びですかっ!」
二匹目の犬…漠然と、そんな印象があった。
ファルカナ・ザイナと比べても遜色のない見事な肉体をしたその戦士は、四本の腕を持つ獣のように飛び跳ねて、ザラにすり寄った。
「いい子ですわ、ディータ…。まあ、こんなに興奮して、大きくしてしまって……フフ。
ではディータ、あなたの鍛え具合、ザイナさんのペニス相手に見せてご覧なさい」
「はいザラ様! 俺、あそこに締まりには自信ありますからっ…あいつの、全部搾ってみせます!」
ディータは元気良く笑うと、背後からファルカナに突きまくられ息も絶え絶えなザイナに向かい合った。
「結構立派だよね、こいつの」
「だな。じゃ、いただきまーす…」
四本の腕をザイナの肩や胸に這わせ、ディータは無造作に腰を下ろす。
「あっ!? あっ…あああああああっ!?」
食いついてくる肉の感触に、ザイナはのけ反った。指や胸での自慰は何度と無くしてきたが、本物の性器を味わうのは初めてなのだ。
ディータが切なげな喘ぎを漏らし、動き始めた瞬間、一度目の射精が訪れた。それが終わらないうちに、ファルカナの突きが入り、二度目。
「初体験は重要といいますから…フフ、良かったですわね、ザイナさん。
ん……くっ…ふう。さて、申し訳ありませんわ、お待たせしてしまって…コロンさん、ブランジェさん」
「ひっ!!」
「!!」
もう何度目とも知れぬ精をヴィランデルの中に放ち終えて、ザラはこの世の者とも思えぬ美しい微笑を浮かべた。
「マーメイドにコボルトか! これは珍奇なサンプルなのだ!」
闇の中から愛らしい少女の声が響く。続いてザラの背後から現れる、小柄な影。
その影は淫惨な中庭をぴょこぴょこと歩き回り、ブランジェの前で機械のおもちゃのように立ち止まった。
「ふむむう。半魚類人類の交接器がどうなっているのか学術的興味はあったのだが、しかも両性具有とは! これは貴重な研究材料なのだ…」
「ま、ザナタック。そちらに興味がございますの?」
ザナタックと呼ばれたその少女は、今ようやくザラの存在に気付いたかのように飛び上がり、慌てて巨大な帽子を直した。
「おにゃにゃ、ザラ様! これは失礼、知的好奇心にかまけて階級社会での礼儀をすっかり忘れておりましたのだ。
どうぞどうぞ、引き続きその獣型人類を相手に、快楽を主要目的とする交尾行動を続けて下さいなのだ」
「……なんだ、こいつ…?」
まくしたてるザナタックを前に、ブランジェは状況も忘れて呆れ返った。
だが、振り返るザナタックの視線に込められた欲情を感じて、思わず身震いする。
「ふむ…やはり研究には実地体験が欠かせないのだ。私の生殖欲も平常時の140%まで上昇しているし、ここは…」
ブランジェの下半身、人間の下腹が魚部分と接合する辺りに指を差し込みながら、ザナタックはレザーの拘束下着を外した。
弾けるように、小さな体に不釣り合いな、隆々としたペニスが現れる。
「はっ…んんっ…やめ…」
その幼げな外観に似合わず、ザナタックの指は信じられないほど巧みに動いた。自分でも初めて見るような量の愛液が、下腹の裂け目からヒレまで伝っていく。
「分泌物の塩分濃度も気になるのだが、まずは…んゅ!」
小さな体が下半身にしがみつくと同時に、ブランジェの胎内は過剰な充足感で溢れ返った。
その体躯のどこに力が込められているのか、ザナタックはブランジェの体が浮くほどの勢いで、腰の抽送を繰り返す。
「こ、これはなかなか…膣口部の直径と私の生殖器とのバランスが……んっ…内部組織も…複雑な襞構造で…くうう…気持ちよいのだ……」
「ふ…くぅ…あひゅ、ひあっ…」
堪らない快感に痺れ始めたブランジェの脳には、もうザナタックの長口上も届かない。ただ、犯されるブランジェを見上げて震える、コロンの怯えた瞳だけが……
「はぁ…はぁ…今の射精は、身体感覚で300ccは越えたと観測できるのだ…これは、いいペース…」
「く…や、ダメだ…止めないでくれ…もっと…ひぐぅ!!」
ブランジェの懇願に無言で応え、ザナタックは三度目の交わりを開始した。
すでに混沌の精液で一杯になった膣内から、一突きごとに泡立つ粘液がこぼれ落ちていく。
「ザナタック。ブランジェさんの研究に熱中するのも結構ですけれど、コロンさんが淋しがっておられますわよ」
「にゅは! むむう、これは半魚類人類の性器の優秀さが引き起こした、不可予測的なミスでしたのだ!
では…ギルメイレン、始動!」
ザナタックの幼げな声が、闇を鳴動させた。巨大なモノが動き始める鳴動を感じ、コロンの怯えは限界近くにまで高まる。
「っ………」
悲鳴も出なかった。
闇の中から現れたそれは、醜く歪んだ人間の肉と、過剰な筋力と生殖力と、それらを包む美貌を備えた怪物だった。
「ざな様…おれ、始動した」
「うむ! これぞ我が亜人間改造研究の集大成、人造生命ギルメイレンなのだ! ギルメイレン、そこのコボルトと快楽を主要目的とする交尾行動を行うのだ!」
「はい、ざな様」
「うわあああっ! やだよぉっ、助けてっ! ブランジェ! ザイナさぁん!!」
泣きながら四つん這いで走り出すコロン。
だがその目に映るのは、二人の戦士に挟まれて虚ろな目で快楽を貪るザイナと、ザナタックの小さな体を抱えて腰を振るブランジェの姿だ。
そしてコロンの体も、巨大な拳に捕まれて軽々と持ち上げられた。小ぶりで形のいい尻に、人造怪物の膨れ上がったペニスが押し当てられる。
「やだ、助けてっ! お願い、何でもします! ザ、ザラ様っ、ザナタックさ…ひゅにゃあああああっ!! ぁ……あ…あ…れ…?」
想像していた、肉を引き裂く痛みは訪れなかった。ブランジェより二回りは大きい性器を、濡れそぼっていたコロンの膣は、苦しくはあるが受け入れている。
いや…これは。ギルメイレンの挿入も、動きも、壊れ物を扱うように丁寧で優しいのだ。
「痛い、よくない。おれ、痛くしない」
「ふむ。いい子なのだ、ギルメイレン」
「ほめれらた。嬉しい。おまえも嬉しいにする、ころん」
「ひはっ…にゅ…う…ダメ…ボク……そん…なに、されたら…」
コロンを抱擁した力強い筋肉がうねり、下半身が溶けるように快感に浸っていく。一分もしないうちに、コロンは恐怖も忘れて、ギルメイレンの豊かな乳房に顔を埋めていた。
「これで、3人ともおもてなしできましたわね。さて…」
ザラが満足そうに微笑み、体位を変えようとしたその時。
閃光が、薄闇を切り裂いた。
ズポリという淫靡な音を立て、ザラの逞しいペニスが獣の膣から引き抜かれた。
その一瞬後には、すでにザラの姿は数m離れた位置にあった。美しい眉が上がり、魔性の瞳が乱入者を見据える。
「不意打ちとは味な真似をして下さいますわね。でもそんな腕で私を斬ろうなんて、百年早いのではなくて?」
「私の初斬をかわしたか。やはり…ただの魔人ではないな」
大剣を構え直したその騎士は、ザラに敵意と欲情の入り交じった視線を送りながら、庭園の地を踏みしめた。
引き締まった体躯は外見以上の力で武器を振るわせ、その有り余る力がまた、股間の剣から先走りの液となってにじみ出ている。
「天狼剣の騎士・セリオス=トシテル=アカバロア。貴様ら、どうやら例の老魔族の仲間ではないようだが…構わない。
貴様ら魔人は全て、この天狼剣で…斬り捨てて……くれよう…くぅぅっ!」
言葉につれてセリオスの瞳は妖しく濡れ、最後の言葉に共鳴するように剣が光った瞬間、そのペニスは虚空に向けて激しく射精した。
剣の魔力と、狂った肉体と、血への渇望が一つになって、この堕ちた騎士の中で渦巻いているのだ。
それぞれ相手から身を離さぬまま、ザラの部下達はセリオスを包囲する。だがザラはそれを手で制して、セリオスへ微笑んだ。
「フフ…面白い方ですわね…少し遊んで差し上げますわ。でもその前に…」
振り向いたザラの先で、また、影が動いた。