Xmasスペシャルストーリー2

サワナのクリスマス














「感心できません」
「だってさ…そんな、邪魔しづらいよぉ。あんなに…サワナ達…ねえ?」
「ジェナさんが支えて下さらなければ、より危険でした」
「うう…」
 レイシャの静かな叱責を受け、ルキナは助けを求めるように次元馬車の後席を振り返った。

 だが、騒がしかった子供達は疲れ切って、めいめい買いたてのぬいぐるみを胸に寝息を立てている。
 サワナと、一緒にいた娘は、もとより気を失っていた。
 そして当然、ジェナは何も言わない。

「そもそも、ルキナさんには非合理的かつ不確定な行動が多すぎます。守護者の任とは…」

「うう…ううう〜」
 ルキナは情けない声を上げながら、自分の胸に顔を埋めた。



***



「ねえ……いいの? 連れていかれちゃったよ?」
 少女はアポロキャップを投げ捨てながら、暗く広大な部屋に”にじみ出た”。
 豪華な丁度がまばらに並び…無機よりむしろ肉の匂いに満ちた、不可解な空間。
 その少女の姿が、歪むように変わった。
 髪は柔らかな白に。肌は艶やかな褐色に。そして年は、遙かに幼い姿に。

「構わん」

 少女の視線の先……部屋の壁全面を構成するガラスの前に立つ姿が、応えた。

「でもこれで、ホントに、私達と違うヤツらがいることが分かったね。まさか、儀式が完成する前に向こうが来るものだとは思わなかったケド。……ねえ……どうするの?」
 少女は軽やかな足取りで部屋を歩むと、ソファに座る幾人もの女性から一人を選び、その下半身に何かを突き入れた。

「手出ししてこないなら問題ない。我々の計画は、何人にも邪魔はさせん」
 濡れた肉の音を背景に、低く美しい声が、少女に応えた。

 二つの美しい褐色の影。そして横たわる無数の美女達。
 それを囲む巨大な窓からは、 きらびやかな夜の街並みが見下ろせる。



 両性具有の生徒達のみが通うという、特殊学園都市の夜景が。

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