-3-
――射精したい。
サワナが最初に感じたのは、熱くうねるような性欲だった。
熱を帯びたペニスから、むずがゆさがクリトリスまで伝わり、そのまま内性器へ。欲情は男女双方の生命力に満ちた胎内で渦巻き、再び張りつめた肉棒に噴出してくる。
朝だ……
ルキナ様や……皆さんにご奉仕して……
射精したい……
半分覚醒した状態で、毎朝と同じ思考が浮かぶ。
だが。
よどんだ空気に混じる錆の臭いと、両手を戒める鉄枷の冷たさが、サワナを現実に引き戻した。
「ここは……」
牢獄のような薄暗い部屋。
石壁にいくつか貼り付けられた頭蓋骨の上で、蝋燭が鬱々と燃えている。
所々にある黒い染みは、血の跡だろうか。
地下牢か、拷問室のような部屋だ。部屋の隅々には、様々な器具や金属製品――その用途も想像したくないような品々――が並んでいる。しかし、その細部は朧ろな灯火に照らされては闇に沈み、詳しい様子は知れない。
サワナ自身は、緩やかな角度で立つ拷問台に固定され、半ば立ち半ば寝るような姿勢で居るようだった。
そう、サワナは捕らえられたらしい。
メイド館にいたサワナが最後に覚えているのは、ヴィルギーニアと呼ばれた女性の”紅い目”だった。
その目を見ているうちに、全身が凍り付き、意識が薄れ――
気付いた時には、この状態となっていたのである。
早月・カナディア・静音、そして年少のリサリア・ルカルナ・リリィナ。彼女ら6人を含めた他のメイド達は、見あたらない。
無事に逃げていて欲しい――と、サワナは祈る。
「覚醒したか」
背後から、あどけない声がした。
「ここは、わらわ達の城。そなたを捕らえた世界とは別の世界の、モーティスという星に建っておる」
拘束されたサワナは振り返ることが出来ないが、ぺたり、ぺたりと、石畳を小さな裸足が踏む音が近づいてくる。
「年齢は20歳前後……青みの黒髪に白い黄色系の肌、か。ワカクの人種に近いな」
つぶやきながらサワナの前に立ったのは、あのネフェリーデと呼ばれた少女だった。
「ふむ。なかなかに美しいのう」
「美しい? 顔は美しくとも、畜生は畜生だ」
ゆらり、と石壁をすり抜けて現れたのは、ヴィルギーニア。
気の強そうな眉根を寄せ、紅い瞳でサワナをにらみつけている。
彼女は何故かサワナのペニスに目をやると、何とも形容し難い暗い表情を浮かべ、すぐに顔を背けた。
「ど、どうしてこんなことを!? みんなは何処なんですか?」
二人の妖女が放つ威圧感に気後れしつつも、サワナは聞いた。
「気丈な女だ。わらわ達を前にして、心が砕けぬか」
「メイド風情といえども、ラネーシア……いや、ヴァイアランスの使徒だ。普通の人間ではない。それに、他のメイドどもよりも、心も強いようだな」
「ほ、他のメイド……って……」
「くくく。鼓動が早くなった。血の中に恐怖が混じってきおったぞ」
ネフェリーデは目を細くして二ヤつきながら、サワナに顔を近づけた。
「どう思う? 逃げおおせたかのう? それとも、わらわ達に捕らえられたのかのう? あるいは、すでに切り刻まれておるかも知れぬぞ。美しい顔はそのまま飾りに、手足は切り離して、内臓はかき出してから……」
「や、やめて……」
「キハハはははっ! まだ殺してはおらぬ。まだ、な」
「どうなるか、は貴様の態度次第だ。サワナ――と言ったか」
ゆらめきながらサワナの側に移動したヴィルギーニアが、耳元で囁いた。
「私の……態度で……」
簡単に予測できる言葉ではあるけれど。
その卑劣さに、そして何もできない自分に、涙が溢れそうになる。
「あ、あなた達は、何者なんですか?」
嗚咽をこらえて、尋ねた。
「ふむ」
残酷な笑みを浮かべていたネフェリーデの表情が、くるくると変わる。驚き、思案、そして再び酷薄な笑み。かいま見える表情はとても愛らしいのに、落ち着くのは常に悪魔のような表情だ。
「わらわはネフェリーデ。アイスコースト諸王国ベスパルト王家の王女だったが、下賤の者どもはわらわを”切り裂き姫”と呼んだ。悪くない名前ゆえ、今は”切り裂き姫”ネフェリーデだ」
「私はヴィルギーニア=フラメンヴァルト、旧帝国第三皇統の――」
「斬首皇統、だな」
「……第三皇統の、皇女だった」
「二つ名は”死霊皇女”」
「黙れ!!!」
ヴィルギーニアの叱責に、牢獄の石組みが揺らぐ。鎖が鳴る。
しかし、ネフェリーデは小さく首をすくめて笑うだけだ。
ネフェリーデの言う王国は聞いたことが無いが、「旧帝国」と言えば、ザラ様をはじめとした多くの神殿関係者の出身地だ。ヴィルギーニアも、同じ世界の出身なのか。
「わらわ達は、カバル・オブ・ザ・デッドと呼ばれる、死霊術教団と手を結んでおる。そなた達の神――ヴァイアランスと戦うためにな」
「っ!」
「とはいえ、わらわ達の目的は数多にして崇高遠大、ここでそなたに話しても理解できまい。ただ……」
ネフェリーデは爪先立ちになると、サワナの首に痩せた腕を回し、口づけでもするような姿勢で話し続けた。
「目的のうち一つは、そなたにもすぐに理解できるだろう」
ネフェリーデは顔を傾けると、サワナの首筋に唇を這わせ、小さな舌で唾液を塗りつけてくる。
「ふ…あっ……!」
それだけで、不覚にもサワナは声をあげてしまった。
ルキナ様達の濃厚な愛撫に慣れているのに。
首筋へのキスだって、いつものことなのに……
首からやわやわとした電流が走って、全身の血管を走っていくような感覚。快感の電流は手足の指先やペニスの先端にまで及んで、じんわりと消えていく。
けれど、ネフェリーデの硬い犬歯が当たった途端、サワナは彼女の真意に気付いた。
――吸血鬼。
二人が生ける死者、アンデッドであることを思い出す。
「そう、わらわはヴァンパイアだ。ヴィルギーニアも、非実体の肉体を持つ特殊なヴァンパイア。そなたの血は良い香りだ……肌の上からでも分かる」
痩せぎすな少女の体を、サワナの豊満な肉体にこすりつけながら、ネフェリーデが呻いた。その声には、性欲とも食欲ともつかぬ興奮が込められているようだった。
「血の愉しみは後にすると言ったろう、ネフェリーデ」
「ん……ぅ……分かっておる」
ヴィルギーニアに止められたネフェリーデは、口惜しそうに首筋から離れると、再びサワナの目を見つめた。
「確かに、血をすする喜びは極上のものだ。血こそがわらわ達ヴァンパイアの糧、不浄の命の源だった」
――だった?
「だが、私たちはカバルの秘儀によって変えられた。両性具有神ヴァイアランスの使徒を倒し、その力を奪う特別なヴァンパイアとして、な」
「そう。そなた達の体には、血よりも遙かに濃密な……ハアっ……ハアっ……とろけるような……生命の精髄が、溜め込まれておる」
ネフェリーデの息が荒くなっている。息をする必要も無いのだろうに。
「分かるであろう? わらわ達は……」
ネフェリーデの細い指が、サワナの張りつめたペニスに絡みついた。
目覚めた時に覚えた欲情が、甦る。ぷっくりした亀頭に透明な先走りの玉が浮かび、股間からジワリとフタナリの蜜が溢れ出す。
「ヴァイアランスを倒す吸血王女。フタナリの精をすする、吸精鬼だ」
***
「はあっ……ひゃふあああっ!! ゃっ…ひゃめうっ!! し、舌あぁっ!」
ネフェリーデの小さな舌が、固くすぼめられて、サワナのペニスの鈴口に押しつけられている。
ぐりぐり、ぐりぐり。強く弱く舌が前後する度に、あの甘い電流がペニスの芯に流し込まれて、サワナの全身の血管を抜けていく。
「堪らぬであろう? わらわ達吸血王女の唾液は、フタナリにとって最上の媚薬。血を吸われるにも精を吸われるにも、その快感を限りなく高めるのだ」
わずかに舌を離して、ネフェリーデが邪悪に微笑む。
「ほうら……精を造り出せ……もっと……」
言いながら、舌が何度も尿道に突き立てられる。
「ひうううっ、ね、ネフェリーデさんっ、やめてっ……」
「誰が”さん”だっ!!!!」
「いぎああああっ!!」
灼けるような激痛が、サワナの左半身を打った。
激痛と快感が体内でぶつかり合い、視界が明滅する。涙でにじむ。
ヴィルギーニアの鞭が、激怒の声と共に炸裂したのだ。
さすがに殺人用の鉄鞭ではなく、皮の鞭だが、肉が裂けるような痛みが走る。
サワナの柔らかな乳房の上に、痛々しい腫れが浮かび上がった。
「ひっ…す、すみませんっ」
「家畜風情がッ、口の聴き方を知れ!!」
ヴィルギーニアが再び鞭を振り上げる。
ザラ様の、愛情を込めた優美なサディズムとは違う。本当の怒りと憎悪が、ヴィルギーニアの顔に浮かんでいる。
「は、はい……ヴィルギーニア……」
屈辱に涙が溢れる。けれど、恐怖と苦痛、そして深く教え込まれたメイドの服従精神が、サワナの口を動かす。
「……様……」
「よく言えた。だが、もう一撃加えてやる、これでもっと良く分かるだろう!」
「いっ!?」
横薙ぎの一撃。
「いうっ……ぐううううううっ!!!」
身をくの字に折りたいほどの激痛が両胸に走るが、拘束でそれもままならない。サワナは悲鳴を噛み殺しながら、呻いた。
「いい声だ……」
ヴィルギーニアが、さらに手首を利かせ、鞭をしならせる。
その目は異常な欲望に輝いて、空いた手は股間に伸びようとしていた。
明らかに、鞭打ちに欲情している。彼女は真性のサディストなのだ。
三撃目を予感し、サワナは首を振った。子犬のように哀れな声が漏れるのが、自分でも分かる。
「よせ!」
ネフェリーデの声で、冷酷な死霊皇女の手が止まった。
立ち上がったネフェリーデが、サワナの乳房を素早く撫でる。
それだけで、腫れは一瞬に引き、痛みが消えていく。すぐに、染み一つない柔肌が戻ってきた。
「壊す気か……まったく」
ネフェリーデは再びしゃがむと、サワナのペニスに手を添えた。
「このフタナリは、まだまだたっぷりと楽しめる。血も精も味わいつくし、ヤツらをおびきよせるのに使い、飽ききってから……」
ネフェリーデの舌が、ゆっくりとサワナの裏筋を舐め上げる。
「存分になぶり殺せ」
「ひっ……ひふあああああっ!!」
ペニスの裏にたっぷりと唾液を塗りつけられる快感と、黒い絶望感がない交ぜになって、サワナは泣き叫んだ。
「その後はわらわがアンデッドに変えて、永遠にかわいがってやろう。だが、まずは活きのいい精子を……あ、味見せねばな……」
自らの言葉で高ぶっているのか、ネフェリーデの幼い顔が、紅潮していった。
「どうだ? ヴィルギーニアの拷問にかかり、長く苦しい死を迎えるのと……わらわに精液を捧げて最高の悦びを知るのと、どちらがいい?」
聞きながら、ネフェリーデは親指と人差し指を輪にして、緩慢にサワナの肉茎をしごき始めた。
「そ、それは……」
片方を選ばざるをえない問いではないか。
ネフェリーデのすべらかな手が、繊細な強弱を加えながら、サワナの幹を上下する。あまりにも遅い動き。いっそ激しくしごいて、溜まりきった精汁を搾りだして欲しいとすら、思ってしまう。
「ね、ネフェリーデ様に……」
――ルキナ様、ザラ様、お許し下さい……
「ネフェリーデ様に、精液でご奉仕したい……です」
ルキナに見出されて以来、初めて。
初めて両性具有者以外に屈服するみじめさに、サワナはぽろぽろと涙をこぼした。
だが、その悲しみも、長くは続かなかった。
「よかろう。吸血王女の吸精がいかなるものか、知るが良い」
ネフェリーデの口が、「くぱあっ」と音がしそうなほどに、大きく開いた。未発達な少女の顎が、肉食獣のアギトのように。
尖った犬歯が正常な程度に引っ込む。甘そうな唾液が糸を引く。
「はぽっ」
そのまま一気に、ネフェリーデはサワナのペニスを丸飲みした。
敏感になっていた亀頭粘膜に、柔らかい喉奥の粘膜が当たる。
次の瞬間、熱い唾蜜を絡めながら、少女の口蓋が肉幹に吸い付く。
最後に、ペニスの根本が宝石のような唇に強く挟まれた。
「ひあっ、ぁああああっ!? こんな、こんなのってぇ!?」
先端から根本までを搾る圧力の凄まじさに、サワナは驚きの声を上げた。
張りつめていたペニス全体に、先ほどまでとは較べモノにならない量の妖唾液が塗り込められる。特有の痺れるような快感が、サワナのしなやかな背骨を駆け上がり、射精中枢を引き裂いた。
「あうっ、出るっ、せ、精子っ……あっ、あ!!?」
だが、射精特有の脈動が起こるものの、精液が出る感覚が無い。
快感だけがペニスを走り、ネフェリーデの口中で膨れ上がる。
「んんっ!? で、出なっ……!!!」
ペニスが爆発してしまう。精液が出ないのに、放出の予感だけが膨れ上がっていく!
「ちうううううっ……」
ネフェリーデが、恍惚とした表情で、ペニスの先端を吸い上げた。
「いいっ!? 出るっ、あ、違っ、精液じゃない……でも出るうううっ!!?」
サワナの狂おしい期待感は先走りとなって、吸血王女の喉奥に噴出した。
放尿や潮吹きに近い、透明な放出感。大量の先走りだけが、ネフェリーデに飲まれていく。
「ああっ……ひゃああっ、う、うううううう〜〜っ」
快感はあるが、射精出来ない辛さの方が遙かに大きい。先走りを吸い出された分だけ、胎内で精液がドロドロに濃縮されたような気分だ。
「貴様が射精するかどうかは、私たちの意志次第、唇の動き次第だ」
鞭を手放したヴィルギーニアが、サワナに身を寄せて言った。たっぷりとした霊体の爆乳に、サワナの大きな乳房が沈み込み、冷たく半透明な柔らかさが伝わってくる。
「そんな、しゃ、射精させてっ……下さいっ!」
言ってすぐに後悔する。二人とも、フタナリを襲うサドの吸血鬼なのに。
「すぐに射精? そんなわけがなかろう。先走りをすすられる度に、精液の濃度は増し……染み込む唾液が、精子を異常に増産させる。腰が燃え落ちるかと思うほどの苦しさと快感が、貴様を襲うのだ」
「う……ああっ」
哀れにうなだれるサワナを見て、案の定、ヴィルギーニアが嗜虐の笑みを浮かべた。
「んぐ、んぐっ」
「ね、ネフェリーデ様ぁっ!?」
ネフェリーデの喉がさらに蠢き、サワナのペニスを呑み込み始めた。
サワナのペニスとて、平均的な人間よりかなり大きいサイズのはず。しかしネフェリーデは、それを無理矢理に受け入れていく。
「ん、んぐ、んぅふ」
普通なら反射的に吐き戻してしまう位置まで亀頭を受け入れると、ネフェリーデは満足げに目を細めた。ペニスは完全にネフェリーデの小さな口に消え、愛らしい唇はサワナの恥丘にぴったりと貼り付いている。
窒息するのでは、と心配しかけて、サワナは理解した。死者に呼吸は必要ない。その気になれば永遠に、こうしてサワナを呑み込んでいられるのだ。
「う、ふああああああっ!!!」
ネフェリーデの喉全体が蠢き始め、サワナは切ない屈服の声を上げた。
獲物を飲み砕く大蛇のように、ネフェリーデの幼い咽喉がペニスを搾り殺す。
唾液を絡めつつ、短い舌が巧みに動いて、張り詰めた裏筋を血管を舐め尽くしていく。
「くぷっ……んぱっ……んむううっ……」
「ひゃいっ! あぁやあっ、ネフェっ……ネフェリーデ様っ! 動くのはああっ!!」
そのまま、ネフェリーデは頭をリズミカルに前後させ始めた。
滑らかな唇が幹をすべり上がると同時に、亀頭が咽喉の凹凸と口蓋の感触を味わわされる。それから一転、あの呑み込まれる際の死のような快感がペニスを襲う。
呑み込まれては吐き出される、哀れな獲物のように。外見だけは遙かに年下な少女の口蓋で、サワナのペニスが弄ばれる。
「ふうっ……ふうううううっ」
サワナの大樹を呑み込み、時おり先走りをすすりながら、ネフェリーデは自らの秘裂をくじっていた。
拷問台にはりつけられ、のけぞるサワナにはほとんど見えないが……
真っ白な手が繊細な動きを見せるたびに、ぬちゃぬちゃと淫らな粘液音が響く。激しい自慰を行っているのが分かる。

「お願いですっ! お願いですからっ!! 精液っ、出させて下さい! これ以上濃くしないで下さいいいっ!!」
切り裂き姫の魔性のフェラチオに翻弄され、両胸を死霊のレズの技に弄られながら、サワナは懇願した。
射精禁止プレイは何度も経験しているが、今回の責めは違う。
恐怖と快感、吸血王女の魔力が、サワナの心を毒しながらペニスを堕としていく。やがて本当に精巣が破裂して、二度と射精できなくなってしまうのではないか。そんな妄想がサワナを蝕む。
恐怖と快感で苦悶するサワナの声を聞いて、ネフェリーデが上目遣いに見上げた。
サワナの頭の中に、魔力の声が響く。
『今、そなたを堕とすのは容易い。だが、それではつまらぬ。そなたには更なる恐怖と絶望、快楽と狂喜を味わったうえで、わらわ達の家畜となってもらわねばな』
ネフェリーデの頭の動きが止まった。
サワナのペニスを全て呑み込んだまま、喉の動きと舌の責め、口腔の締め付けと吸飲だけで、壮絶な責めを加えてくる。
『だから、今は屈服する前に、吸精してやろう』
ネフェリーデの唇が、何かを囁くように動いた。
ドクン、と、下腹に心臓が出来たかのように、何かが脈打つ。
「ひっ、あ、やっ……! く、来るっ、何、あ、何これああああっ!!!」
ドクンドクンドクンと、腰の中で何かが射精しているかのように、断続的な快感がサワナを貫いた。
「ひやああっ、お腹の中で射精してるっ!! 射精がっ……上がってくるうう!!?」
射精の快感が幾重にも連なって、精巣から輸精管を駆け上がってくる。
射精を続けるペニスそのものが、尿道から噴出してくるのではないか、とまで錯覚してしまう。
「よく覚えておけ。これが吸血王女の吸精――貴様ら汚らしい家畜どもが、この世に生きることを許される理由。貴様らの唯一の奉仕だ!」
ヴィルギーニアの尖った爪が、サワナの両乳首をひねり上げた。
背骨を砕くほどの快感に、乳房からの痛みと快感が加わり、サワナの脳裏で炸裂する。視界が渦巻き、一瞬ルキナ達の姿が浮かび、砕ける。溶けていく。
自分の尿道を大量の粘液が上がっていくのが、スローモーションのように解った。
「きひいいいいいいっ!!! 出ひゃうっ、せーし出ひゃうよおっ! るっ、ルキナさまあぁっ、ご、ごめんなさっ……あああああああっ!!!」
自分でも信じられないほどの力で、腰がのたうった。
ネフェリーデの細い首が折れそうなくらいに、頭が振られる。それでも、ネフェリーデの口は少しもペニスを離さない。
そして、来た。
「かっ………………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………」
トコロテンのように濃縮された子種ゼリーが、トロトロゆたゆたと、王女の喉奥に流れ込み始めた。ペニスは射精のように脈打つが、精子ゼリーが途切れることは無い。一繋がりになった遺伝子の固まりが、凄まじい快楽を伴って引きずり出されていく。精子がそのまま脳髄に繋がっていて、精神まで引きずり出されてしまうのではないかと思う。
「んぐううっ、んぐっ、んぐっ、んぐふうっ」
窒息しそうな量のサワナの精液を、ネフェリーデは余裕の笑みすら浮かべて飲み干していく。
『ほうほう、さすがの美味だのう。次元の生命と快楽を司るヴァイアランスの使徒、メイドごときの精汁であっても、この味か……!』
再び脳内への声。
『ほうれ、そなたが造り出した数兆匹の精子が、死者に飲まれて無惨に死んでいくぞ。愛する者の胎内に出せば、新たな命を生みだし得たのにのう。サワナ、そなたが無様に精を垂れ流すがゆえに、こやつらは不浄の命の糧となるのだ!』
「はうぅ、あああっ、せ、精子っ……私の精子が……食べられちゃうぅぅ」
ネフェリーデの嘲りを半ばほども理解できないまま、サワナは泣いた。
下半身が壊れてしまったかのように脈打ち、ペニスは濃厚な射精を続けている。あまりの激しさに、胎内が痛い。ペニス周辺の筋肉が痛い。痛みが快楽を増加させ、ますます哀れな射精を加速させる。
「……………」
たっぷり数分間の射精の後。
サワナは放心して、拷問台の上で涎を垂らしていた。
様々な快楽を味わってきたサワナだったが、口だけでこれほどに壊されてしまったのは、初めてだった。
忠誠を誓うルキナ様達以外の相手で、これほどに感じてしまったのが悔しい。
いや、それより――
今すぐにでも、もう一度ネフェリーデにしゃぶって欲しいと思っている浅ましい自分が、悔しい。恥ずかしい。
このまま幾度も吸精されたら、自分は吸血王女達の虜になってしまう。
ルキナ様、ザラ様、早く助けに来て下さい……!
サワナの頬を、涙が幾筋も伝っていた。
サワナの精をたっぷりと飲んだネフェリーデは、口の中で精液を転がしながら、小刻みに震えている。股間を伝う凄まじい量の愛液と、ぷっくりと充血した幼い恥裂を見るに、吸精で絶頂に達したのかも知れない。
「私にも……よこせ」
ヴィルギーニアがかすれた声でつぶやくと、ネフェリーデの口を吸った。
恐るべきサディストの表情は薄れ、蕩けたような表情でネフェリーデを抱きしめている。美しい二つの唇の間から、真珠色の精液が泡だってこぼれた。
ヴィルギーニアの喉も、貪欲に動いている。
「……ぷはあっ」
「あ……おおおおっ………」
口移しで精液を飲んだヴィルギーニアも、立ったまま達していた。
巨大な双胸を自ら鷲掴みにし、目を半ば白目にして、絶頂の痙攣をしている。
豊かな太ももの間から、エクトプラズム上の愛液が迸って、石畳に淫猥な水たまりを作った。
「はぁ、はぁ、ぉ、おおっ。の、飲むなら自分で飲まぬか。ま、またイキそうになった」
必死に震えを抑えるようにしつつ、抗議するネフェリーデ。
「う……うるさい。あ、あんなモノを口にくわえるくらいなら、死、いや。消えた方がマシだ」
吸精による絶頂の余韻によろめきながら、ヴィルギーニアも答える。
二人はしばし目を合わせると、うなずき合い、視線をサワナへと戻した。
「想像以上の収穫だのう、こやつらは」
「ああ。味は悪くない」
「ならば、早速会わせてみるとしよう」
二人の吸血王女が、妖しく微笑む。部屋の影が濃くなり、二人の白い牙だけがサワナの目に映る。
「入れ」
死者の呻きのような音を立てて、部屋の鉄扉が開いた。
回廊から差し込む光を逆光に浴びて、一人の影。
「――早月!」
そこに立ち尽くす木川早月の虹彩には、紅い光点が灯っていた。
To be Continued>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> |