「よく…寝てますね」
「ああ」
「あの…」
「……」
「お茶でも…」
「……いや、いい」
 次に何を言うべきか思いつかなくて、立ち上がったパスナパは仕方なく、元の椅子に座り直した。
 ここは、本殿にあるヴィランデルとパスナパの居室。パスナパにとっては住み慣れた、暖かい部屋だ。
 しかし今、姉が座るべき椅子には、姉に劣らない体躯の……ジェナが腰掛けている。
 テーブルから少し離れたゆりかごの中、大きな黄色いぬいぐるみと眠るのは、ヴェナルティア。
 そう、今パスナパは、ジェナとおおむね二人きりでいるのであった。

 姉様、何してらっしゃるんだろうな……
 ヴェナルティアが生まれてからの数時間を思い起こす。
 神殿で初めて生まれた赤子は、皆に歓迎された。ルキナ様はかわいいかわいいと大騒ぎし、自分の部屋に連れて帰ってしまいそうな勢いだった。
 ザラ様は優雅な仕草で祝福の口づけをヴェナにして下さった。
 大勢に抱かれ、その度に相手の乳房を吸ってみたりしていたヴェナルティアは、そのうち微笑み疲れたのか、母の胸に眠ってしまった。
 ところがヴィランデルは、部屋に戻ってヴェナルティアを寝付かせると、一人ヴァイアランス様の礼拝堂へ向かってしまったのである。
 ただ、一言だけ言葉を残して。

「二人で体を温めておけ、と言っていたな」
 考え事をしていたパスナパは、いつの間にかジェナが自分の側に立っていることに気付き、顔を上げた。
「…は、はい…」
 その意味を思うと、パスナパの顔はたちまち赤く火照ってしまう。
 目の前にある、姉に似て逞しいジェナの肉体。太くしなやかな四肢、芸術品のように重なった筋肉、熱く天を衝く男根……そして、吸い込まれそうな蒼い瞳。
 ここ一月ほど、姉の体を気遣って激しい交尾をしていなかったパスナパは、股間と椅子の間がじっとりと濡れていくのを感じた。
 姉に対するものと似た愛しさが、パスナパの中で沸き上がる。
 けれど…ジェナへの嫉妬めいたものもまた、胸の中で暴れていて、素直にジェナの胸に飛び込むことができない。
「……」
 うつむいたパスナパを前に、ジェナはしゃがみ込む。
 そしてパスナパの体を、軽々と抱き上げた。
「あ……!」
 ジェナの肌の優しい匂いに包まれて、パスナパは小さく震えた。
 ジェナはそのまま長椅子へと移ると、パスナパを抱いたまま腰掛けた。
「…話を、しよう」
「え……?」
 目を丸くしたパスナパの頬を、ジェナの指が密やかに撫でた。

「俺が、お前の姉を奪ってしまうと、思ったか?」
 愛撫というには静かすぎるくらいにパスナパの肉体を撫でながら、ジェナはささやく。
「…は、はい…」
 一瞬ためらったパスナパは、しかし素直に、自分の気持ちを口にした。
「…そうか」
 ジェナが微笑む。
「心配するな。俺も、お前と同じだ。聞いただろう…俺が女だった頃、ヴィランデルになら抱かれても良いと、初めて思った、と……」
 パスナパは小さくうなずいた。
「その思いは、今でも変わらない。ヴィランデルが俺の子を産んだことは、この上なく幸せだ。…だが、やはり、俺の中の女は今でも、ヴィランデルの子を生みたがっている」
「…同じ……」
 うなずく代わりに、ジェナはパスナパに口づけをする。
「私と、同じ…なんですね」
「そうだ」
 少し喋りすぎたな、と言うと、ジェナは照れくさそうに笑みを見せた。


***


 舌でくつろげると、濃密で透明な粘液が、とめどなく溢れ出る。
 尻に這わせた両手に力を込めると、柔肉は心地よい弾力でそれを押し返す。
「ジェ…ナ…さ…んぁ……はぁ、はぁっ…っあ!」
 パスナパはジェナの後頭部に手を当てると、さらに強く、秘所を顔に押しつけてきた。

 長椅子の上で、ジェナはパスナパを抱いている。
 ヴィランデルの言葉通り、体を温めておくため……そして、二人が解り合えたことを、確認するため。

「よく、熟れている…」
 パスナパの膣に指を挿入したジェナは、つぶやくようにそれを賞賛した。
 外側は処女の初々しさそのままの、パスナパの性器。けれどその内奥は、柔らかく熟れ、時にきつく締め付け、姉の巨大な生殖器を悦ばせるための成熟を見せていた。
「は…い…姉様や…ジェナさんみたいに…おっきくて、子種がたくさん出るおちんちんを…いっぱい欲しいから…」
 目に霞をかけたパスナパは、巨大な胸を自分で揉みしだきながら、淫らな言葉を発している。
 ジェナは絡みつく膣壁の感触を楽しみながら、指を出し入れし、折り曲げ、パスナパの産道を弄んだ。
 そこに侵入した時を想像するだけで、ペニスは硬く張り詰め、先走りをタラタラと漏らしてしまう。
 これほど興奮するのは自分らしくないと分かりつつも…

「はぁ…とっても…熱いです…ジェナさんのおちんちん……はぁ…欲しいよぉ…」
 ジェナの長大なペニスにまたがったパスナパが、発情しきった表情で腰を振っている。
 まだ挿入はしていない。勃起しきった熱いペニスを、パスナパの粘膜に擦り付けているだけだ。
「…いい胸だ…」
 腰を小刻みに動かしながら、ジェナはパスナパの巨大な胸を楽しんでいた。ボリュームのある尻の触り心地も格別だったが、胸はそれ以上に、大きく豊かに発育している。
 アンバランスに大きな乳房を、時に持ち上げ、リズミカルに揺らす。力を込めて揉むと、それだけで真っ白な母乳が放物線を描いて吹き上がった。
「これだけ出れば、ヴェナも満足できるな」
「…は、はい…やっと…赤ちゃんに飲んでもらえるかと思うと、嬉しいです……」
 パスナパは発情した表情から一瞬だけ幸せそうな顔に戻ると、ヴェナのゆりかごを見て微笑んだ。
 ジェナはその視線を追った後、再び白い乳房に目を戻し、ピンク色の乳首を口に含む。
「ひゃぁっ…やっ…ダメです…おっぱい飲まれちゃうと…私…なんだか……」
  舌を動かすだけで、ジェナの口中いっぱいに温かな液体が迸った。わずかに甘みがある、濃いめの母乳だ。
「ん…ぁ…ジェナさん…んんっ…」
 ジェナの腕の中で悶えるパスナパは、ジェナのペニスが濡れきってしまうほどに、愛液を漏らし続けている。
「…そろそろだな」
「っは…はい…」
 パスナパはジェナの上から降りると、カーペットに手を突き、丸い尻を掲げた。獣らしい姿で交尾をしたいらしい。
「ヴェナの…きょ…兄妹を……私の中に、下さい…」
 ピンクの粘膜が拡げられ、白く濁った愛液がカーペットにしたたり落ちた。

 ジェナもまた長椅子から降りると、カーペットに膝をついた。パスナパと腰の高さが合わないことに気付くと、脚を拡げて腰を落とし、ペニスの位置を合わせる。
 パスナパに覆い被さるような姿勢のまま、ジェナはゆっくりと、腰を進め始めた。
「きゃ…あふっ…はあああああっ…
 巨大なペニスが息を吐き出させているかのように、パスナパは長い媚声を上げた。
 亀頭の先端が、パスナパの小さな膣口をヌルリとくぐり抜ける。特に襞が密集した入り口を貫き、奥へ。幹を精巧な膣壁が包んでいく。先端が子宮口に当たると、パスナパの膣全体はさらに柔らかく拡げられて、ジェナの巨大なペニス全てを飲み込んだ。
「俺のモノが全部入った…さすがだ」
 ジェナは対戦相手でも誉めるかのような口調で言うと、カーペットに拳を突き、腰に力を込めた。
「ぃ…ぅ…凄いですぅ…これが…これ…姉様を…姉様に、子種を授けた……ああああああっ!!」
「…行くぞ」
 ジェナはそのまま、逞しすぎる腰のバネを使い始めた。
「かはっ…あ…ジェナさっ…ん…すご…んんあっ!」
 地を掘削する巨大な機械のように、ジェナの腰は上下し、パスナパの中に巨大なペニスを打ち込む。
 二人の接合部からは愛液が泡だって溢れ返り、ジェナの肌を伝う汗と混じって、逞しい太ももに滴った。
「姉…様…と…同じくらい…ひぅぅ…きゃぅぅ…」
 快楽のあまりか、叫ぶというよりすすり泣くような声になって、パスナパはカーペットで悶えていた。巨大な胸は楕円形に押しつぶされて、豊潤なミルクをカーペットに染み出させている。
「む…むぅっ…く………はぁ…」
 ジェナもまた、腰を力強く動かしながら、パスナパの性器に舌を巻いていた。
 案の定、自分やヴィランデルのような剛根を悦ばせるための膣だ。窮屈で、それでいて伸びやかにペニス全てを飲み込む。巨大なペニス全体が楽しめるよう、膣内の肉襞は位置ごとに微妙に感触が違う。それでいて強烈な快楽ですぐ射精させるわけではなく、精液が濃密になるよう、じっくりと楽しめるように蠢くのだ。
 ジェナの逞しい背中を、尻を、玉のように美しい汗が伝う。淫花のようなジェナの女性器からも、透明な糸を引いて愛液が溢れていく。
「くぁ…これを…ヴィランデルは……っ…毎晩…」
「は…ぃ…これか…らは…姉様とっ…ジェナさんで…あ…私の…子宮っ……」
 息も絶え絶えに応えるパスナパの性器が、さらに淫らに締まった。
 腰の中で堰が崩れ、熱い奔流が上がってくるのを、ジェナは感じる。
「おおおっ…行くぞっ…パスナパっ……くああああっ!!」
 パスナパの尻をがっしりとつかんだジェナの腰が、弾けるように震えた。
 熱泥のごとく濃厚な精液が、激しく、強く、撃ち出される。
 ジェナは射精の快感に震えながら、パスナパの小さな体を抱き、呻き続けた。
「パスナ…パ…」
「ジェナ…さ…」
 涙で滲む視界の中で、パスナパと唇を重ねる。


 …その時、部屋の扉が開かれた。

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