CHAOS JYHAD 第三話 魔獣捕獲作戦!?


「ほ、ほんとうなんですよぉぉ……ベロが、ベロがぺろーんって伸びて、お尻を舐めるんですぅぅ!」
「そうだよ! レードルがね、レードルが水を飲もうとしたら、おっきくって茶色いのがドーンって出てきて、舐めたのぉ! 怖いよお!」
「うーん……そう言われてもナア……」
 怯えわめき立てるジュヌビエーブとレードルに抱きつかれながら、ルキナ麾下の略奪部隊長・ヴェスタは溜め息をついた。
 ひとまず二人を触手で抱き上げ、その逞しい胸に抱いてやる。ヴェスタの厚く柔らかい胸に安心したのか、二人はようやく騒ぐのを止めた。
 略奪部隊長ヴェスタ。ルキナ麾下でも一二を争う使い手であり、その部隊によって滅ぼされた街は数知れない。振るうランスは騎兵を貫き、触手の鞭は盾すら切り裂く。
 そんなヴェスタではあるが、今はルキナ様とザラの決戦前。神殿で待機して、ギルディアと共に皆の世話を見る毎日だ。
 別にそれ自体はキライでもない。しかし……中庭にある池に、怪獣が出るなどと……
「まあ落ち着け、二人とも。見間違いやザラのスパイでもなさそうだし……分かった、調べてやろう」
 涙ぐむ二人を触手でポンポンと叩き、ヴェスタは中庭に面する階段を降りた。

 ラネーシア神殿は、迷宮の一階層半分ほどを使った広大な敷地に建っている。当然中庭と言っても、池や林まで擁した広大なものである。
 ヴェスタ達3人は神殿の右棟から中庭に降り、淫らな形の花が咲き乱れる庭園を過ぎて、樹に囲まれた池のほとりに立った。
 何かというと、性を楽しむために変化したモノだらけの中庭だが、この池は例外だ。迷宮の他階層から流れ込む水路の支流に当たり、いつも清らかな水を湛えている。しばしばジュヌビエーブが水汲みに行かされるのも、そのためである。
「怪獣……ベロ……ねえ……」
 未だ半信半疑のヴェスタは、触手で水面を無造作にかき混ぜながら、池の周辺を歩いている。その後ろの茂みに隠れるようにして、レードルとジュヌビエーブは様子を見守っていた。
「かいじゅう、ヴェスタお姉ちゃんなら勝てるかな……」
「え…あ、はい。ヴェスタ様なら大丈夫ですよぉ…だって、あのシシャールさんとか、グリムセルさんとかを…その、色々しちゃったんですよ」
「そだよね…」
 気楽なことを言ってくれる、なぞと思いつつ、ヴェスタは水面を見つめた。
 小魚が動く他に、見える影もない。やはりあの二人の勘違いか、ラディアンスとかいうデカイのが水浴びでもしてたか……
「やっぱり何もいないぞ。お前達の見間違いじゃ…」
「う゛ぇ、う゛ぇ、う゛ぇ、」
「うし、うし、うし、」
「は?」
「ヴェスタ様!」
「後ろ!!」
 振り向こうとした瞬間、濡れた肉塊が股を滑り上がっていった。
「!!」
 思わず顔に火が点り、尻を両手で隠す。毎日体中の恥部を尽くして交わっているくせに、変な話だが……やはり、いきなり尻を舐められては冷静ではいられない。
「な、何者だっ!?」
 ヴェスタの触手が鋼の鞭となって水面を打つ。だが、影は褐色の揺らぎとなって深い青に沈んでいる。
 その影が反転して、水面が炸裂した。
 しぶきの中を跳ぶ、褐色の美しい肉体。人間…獣…いや、は虫類!?

 触手が捕らえる前に、その姿は再び水面に没していた。それでも、ヴェスタの目には焼き付いている。魔獣の美しい肢体と、雄々しくそそり立った雄の器官が。
 こみ上げる欲望と挑戦心。
「なるほど……面白い。このヴェスタの尻を楽しんでおいて、触り逃げできると思うなよ……」
 池のほとりで不敵に笑うヴェスタのペニスは、弓なりに反り返っていた。
「ヴェスタお姉ちゃん、燃えてるね……」
「はい…炎背負ってますね…」
 そう。意地っ張りで知られるヴェスタが、このまま獲物を逃すわけがないのだ。
 

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