その美しきビーストマン達は、猛り狂っていた。
山羊の角を持つ者、雄牛の角を持つ者、魔獣の顔を持つ者。そのいずれもが、ほとんどケモノそのままという頭部の下に、恐ろしいほど発達した筋肉の体躯を備えている。
そしてその体で誇らしげに揺れるのは、過剰に豊かな複数の乳房と、凶器のように巨大なペニス。
そう、彼らは両性具有の獣人だった。
しかも、あまりに凄まじい獣欲と、奴隷を殺しかねない暴虐ぶり、そして四六時中射精しても衰えない精力のために、各地のヴァイアランス教団で持て余した狂獣ばかりだ。
ビーストマン達はその首と四肢を鎖で繋がれ、ペニスに頑丈な鋼鉄の拘束具を被せられて、吠え続けている。その数、5体。
彼らの血走った視線は、部屋の寝台に寝そべる人物へ、射殺さんばかりの勢いで注がれていた。
寝台の上でしどけない姿態をさらしているのは、プラチナブロンドの美女。
彼女は猛る淫獣達へ誘うような視線を送りながら、豊かな太ももを大きく開いて、よく熟れた女性器と逞しい男根を撫でている。
彼女の肉体も、この世のものとは思えないほど豊かに肉付き、完成した、両性具有者のものだ。
しかしそれは、5体もの怪物を相手にすれば、一瞬で引き裂かれてしまうのではないかという華奢で女性的な体でしかない。
それでも、美女は艶然と微笑むと、寝台の脇のスイッチを押し、獣達の拘束を解いた。
極上の両性具有者という獲物を目の前にしていた獣達は、己れの二つの性器から粘液を迸らせながら、寝台へ殺到した。
美女の姿はたちまち獣の毛皮と荒い息に覆い尽くされ、肉を肉が貫き、肉を肉が包み喰らう音が部屋に響きわたった。
***
「ふう……こんな遊びにも飽きてきたわね…」
うずくまった獣の大きな背中に腰掛けながら、彼女は溜め息をついた。
グラスにたっぷりと注いだ精液で、喉を潤す。獣臭は悪くないが、もう薄くなっていて、満足できるほどではない。
彼女は愛らしい溜め息をつくと、グラスを投げ捨て、カーテンを開いた。
朝日がまぶしい。
混沌には似合わぬきらめきが、天井から壁までに塗りたくられた精液の海を照らしだし、ある者は失神し、ある者は怯えてうずくまる獣達の姿を露わにした。
やはり、こんな獣達では、彼女を満足させられない。
もっと逞しく、もっと荒々しく、もっと美しい獣達を……
そして、それらを支配する至高の主を……
そう、あの人と、その獣達なら。
彼女は小さく頷くと、私室を後にした。
獣達を払い下げる命令を信者達に出し、聖堂へと向かう。デーモン達へと祈願し、異界への門を開くために。
「すぐに行きます……お姉様……」
つぶやき、あの姿を思い出すだけで、彼女の愛液は次々と聖堂の床へ滴った。