Tears 番外編



某所経由でDARUさんのCREATORS GUILDで公開中の「そして、未来へ」。 「表」エピローグの、その後のひとコマをお送りします。 まだの方は、まずCREATORS GUILDの方からどうぞ。

ちょっと普段の初公開先では禁止事項スレスレなため、これが初公開です。

「番外編」とついているのは、同じ「Tears」というタイトルの違う作品がいずれCREATORS GUILDで公開される予定があるからです。

もしかすると、連作読み切り形式でシリーズ化するかも(^^;。



小説のページへ戻る
トップページへ戻る




二人きりの夕方。 ゲンドウは相変わらず暗躍中。 ユイもお出かけで帰らない。
アスカはビザの更新でアメリカへ行っているし、ミサトも忙殺。
ケンスケは軍艦の追っかけ。 ミリタリーヲタク丸出し。 トウジはトウジでヒカリと
一緒。 でもこちらは家族込み。 誰にも邪魔される気遣いはない。 貴重な一日。

夕食を終えて。 風呂から上がって。 寛ぐシンジ。 今は、片付けを済ませたレイが
入浴中。

程なく。 レイも出てきた。 最近まろやかさを増してきた、しなやかな肢体に、バス
タオルを巻いて。 思い詰めた、表情。


「シンジくん...」


「な、何?」


「教えて...。 私、どこがいけないの...?」


「え? あ、あの、レイ...? その...いきなり、なに言い出すのさ。 それに、その、
 格好...」


しどろもどろ。 うろたえる少年。 首筋まで、真っ赤に染まる。 少女が、バスタオル
を落とす。 抜けるように白い。 一糸纏わぬ、美しい裸身。 隠す素振りさえ見せず。
捧げるように、全てを晒す。


これまでも、目にする機会が無かった訳ではない。 でも。 変わらぬ細身ながら、見る
度に豊かさを、女性らしさを増していく成長期の女体は、見慣れる事を許さず、いつも
少年をうろたえさせる。 激しく惹きつけ。 視線を、釘付けにする。


いつもなら、理性を振り絞ってたしなめる。 でも。 この日は。 目の前の少女の一言
が、それすらも封じてしまった。


「あなたくらいの男の人って、『女』が欲しいものなんでしょ? でも...あなたは何も
 しない。 私を...私の体を...求めてくれないわ...」


「あ、いや、それはその...」


「今までだって...あなたと『おばさま』と3人の時は...下着を着けなかったり、お風呂
 上がりに何も着なかったりしてきたわ。 二人きりの時もそう。 でも...何もしてくれ
 ない。 私は...まだ処女のまま...。 どうして?


 いけないところがあるなら直すわ。 あなた以外の『男』とSexする事みたいに...でき
 ない事はあるけど...。

 でも、私にできる事なら何でもする。 だから、教えて...。 私の、どこがいけない
 の? 私、どうすればいいの? それとも..........私じゃ...ダメ...?」


「そ...そんなこと...な、ない...けど...。 でもっ...僕たち、まだ...その...15歳、
 だし...」


「そんなこと...関係ない。 私、もう...とうに初潮は来ているのよ。 あなただって、
 とうに精通はあるはずだし...。 何も、問題ない筈よ」


何も言えないシンジに。 プラチナの髪の少女が続ける。


「私...あの時、あのままあなたに溶けて...消えてしまってもよかったのよ。

 でも...あなたがそれを望まなかったから...『生きた私』が側にいる事を望んでくれた
 から...私は、ここに居るわ。


 なのに...どうして何もしないの? 私の体...求めてくれたんじゃなかったの?
 私は...必要無いの...?」


少女のルビーの瞳から、真珠の涙がひと雫。 ふた雫。
そして。 流れ始める。 とめどなく。


少年は、思わず立ち上がり...。 愛しい少女を抱きしめる。 涙で濡れるのも構わず、
頬を寄せる。


好きだった。 大切だった。 汚してはいけない...そう思ってきた。 ずっと、欲望を
抑え続けていた。 いや、自信が無かったのかもしれない。 自分自身に...。


でも、それが愛する女を苦しめていた。 護っているつもりが、傷つけていたなんて...。
これほど、思い詰めるまでに。


あの時の力が...ココロを溶けあわせる力が残っていたなら。 こんな事はなかったかも
しれない。 でも。 消えてしまったものは、もうどうしようもないから。


もう、迷わない。 迷う訳には、いかない。 シンジは、抱きしめる腕を少しだけ緩め。
レイの瞳を正面から見つめた。 紅い瞳に映るのは、ただ自分の姿だけ。


そっと、涙を拭ってやる。 そして。 長く、熱いくちづけの後。


「レイ...。 ごめん...。 気付かなかった。 レイが、こんなに苦しんでたなんて。
 レイに、こんなに哀しい思いをさせてたなんて...。 でも...もう我慢なんかしない。
 僕は...レイが好きだ。 僕だけのものにしたい。 誰にも...渡したくない...。


 今夜..........レイが.....欲しい...」



そして...その夜は、二人にとって生涯忘れ得ぬ...実質的な『結婚記念日』となった。
二人の、本当の幸福は、これから...。





さて。 「ちょっとH」という事で、期待した方、残念でした(笑)。 『本番』は出てきません。
だから、『18禁』にしなかったんです(爆)。 でも、直接的な『単語』が出てくるので、『某所』には公開しませんでした。

「Tears」というタイトルは...まぁ、読めば分かるとは思います。
基本コンセプトについては、この系列1個目の「Tears」が公開されてから、解説を追加するかも。


小説のページへ戻る
トップページへ戻る

ご感想はこちらまで...