守護者小説

 

セルージャ・レイシャの章・第一話


 久々の生者の胎内は、ひどく熱かった。
 どこかの組織の戦闘員だという猫のような少女は、セルージャが腰を突き入れる度に溜め息のような声を洩らしていた。
「ん……ふっ…あ…お前、あんまり喋らないんだな……」
「う…ん…」
 やはり反応は少ない。それが何となく気に障って、セルージャは動きを速めた。
 引き締まった小さな尻にセルージャの褐色の下腹が叩きつけられ、折り重なるベルベットの回廊にリズミカルな音が響く。
「あくぅっ!? や、はっ、やめ……んあああっ!」
「へっへ、ちゃんと出せるじゃんか、声。こっちも…出してみな」
 背後から小さな膣を犯しながら、セルージャは少女の反り上がったペニスに手をそえた。
「あ!? ダメだ、セルぅ……しごいちゃ…ダメ…」
「さっき一回出したのに、随分と元気だよな。いっつも相棒と鍛えてるからか?」
「ひぅああ…あ…! だ…めぇぇ…っ!! 出るよぉぉ!」
 赤い絨毯を爪で裂きながら、少女は勢い良く射精した。
「く…うぅ…! 締まる…な…」
 射精のリズムと連動するように、少女の膣口はセルージャのペニスを引き搾る。強烈な射精感を堪えながら、セルージャは緩やかに出し入れを続けた。
 温かい精液を掌で受け止め、それを少女の性器に塗り付ける。たっぷりの粘液にまみれたペニスを、再び五本の指で弄ぶ。
「あはあっ! あ! あ!」
 指が動く度に少女は高い声を上げ、ペニスは手の中でたちまち硬さを取り戻した。
「いいコだ…フフ」
 腰を回してしばらく肉襞の感触を楽しんだ後、セルージャは少女を仰向けに寝転がせた。
「こっからは、本気だぜ」
「うん……」
 少女はセルージャの白衣に手を回し、豊かな腰回りに太ももを絡みつかせた。
 腰に手を回すと、セルージャの大きく張った胸と、少女のそれに劣らぬ巨乳が、お互いを押し合って潰れる。
 体重をかけると少女は苦しげに息を漏らし、その胸がスーツ越しの弾力でセルージャの乳首を刺激した。
「行くぞ……そら……くっ! あ! あ…く!」
「ふひあぁぁっ!! あ…か…はああぁっ! セルぅ、すご……あああああ!!!」
 セルージャは鍛え上げられた腰のバネを全開にして、少女の体内を突きまくった。少女の帽子が絨毯に転がり、涙の粒が頬を流れる。
 立て続けの絶頂に襲われた少女は、しぶきのように愛液を撒き散らして激しくのけ反った。
「そら…そらぁ! イキなぁ! たっぷり……出してやるからな!!」
 胸と胸の圧迫を感じたまま、セルージャは下半身を何度も往復させた。
 少女がイクごとにセルージャのペニスは締め付けられ、射精間際の性器はさらに一回りも二回りも大きさを増す。
「ひゅぐっ! 出っ…!!」
 少女が小さな悲鳴を上げ、セルージャの腹に大量の精液がぶちまけられた。白衣の布を染み通り、液の温かさを腹筋に感じる。
 女は声にならない叫びでセルージャに哀願し、腰に爪を立てて必死にその動きを緩めようとした。
 愛らしい。だからますます、苛めてやりたくなる。
 乱暴に腰を使い、さらに少女を射精させた。ナース服の前面ほとんどが、じっとりと精液で濡れた。
 セルージャの顎が上がる。背骨から尾の先まで、痺れるような快感が走った。もう、限界だ。
「お注射、いくぜ……う…くぅぅぅっ!! あああああああっ!!!」
「セルぅぅ、あ、あはああぁぁぁっ!!」
 二人は同時に叫び、互いの肉体を抱き締め合った。
 セルージャのペニスは激しく脈動し、少女の子宮に熱い体液を流し込んでいる。その収縮に合わせるように、少女の柔らかな膣壁もうねった。
「は…は…はあっ……。あ……まだ、出てるな…」
「うん……私も、出てる…」
 もう何度目かも分からない少女の射精は、二人の密着した胸の隙間を通り、少女の鎖骨の窪みに白い水たまりを作っていた。
「く……はあっ……」
 最後の射出に身を震わせて、セルージャは少女の金髪に顔をうずめた。


「ふうん。じゃあお前、自分が何なのかよく分からないのか?」
 くわえタバコのセルージャの問いに、少女はコクリと頷いた。
「私は……ある方のコピーなの。だから、私は……私が私なのか、その方なのか、分からない」
「へえ。変な話だな。じゃ、お前の相棒……あいつぁ?」
「あれも私…。違う時間の私。たくさんいる私の中の一人」
「むー……」
 すっかり理解の範囲を越えた話に、セルージャは途方に暮れて天井を見上げた。
 ネクロポリスの守護者、セルージャ。
 彼女はそもそも、格闘家である。少なくとも自分では、そう規定して生きている。
 修行のもたらす絶え間ない克己が、彼女の永久存在を理由づける。だから、修行し、戦い、常に成長を続けていれば、何も悩む必要はない。
 この少女も格闘家だと言う。だのに、何をこれ以上悩む必要があるのか……セルージャには、理解できなかった。
「まあな、こうやって交尾してりゃあ、何か分かるかもって思ったんだろ? じゃ、ま、気楽にやってりゃいいじゃん。気持ちいいしな」
「ああ」
「……で、オレとやって何か掴めたのか?」
 冗談混じりに歯を見せて笑うと、少女は思いがけず真摯な目を返した。
「……暖かかった」
「へ?」
 ポロリと口から落ちた煙草が、絨毯に丸い焦げ跡を作った。
「ふうん……そっかな」
 カーテンがざわめき、回廊の彼方から少女の相棒――少女と同じ顔の少女――が歩み寄るのが見えた。邪魔者は消えるときだ。
「お、じゃあ、またな」
 軽く手を振ると、セルージャは無限に入り組む後宮回廊を歩き始めた。


 至聖後宮回廊は、このダンジョンに迎え入れられた両性具有者達が住まう、暗黒の楽園である。
 その内部は縦横に入り組み、時間を縦糸、空間を横糸にして、複雑な構造が織りなされている。
 道を知らぬ者が踏み込めば、二度と還ることはできまい。だが住人達にとっては、そんなことは問題ではないのだ。永遠の時を、愛する者達と過ごせばよいのだから。
 ただし――
 ただし、ネクロポリスの守護者セルージャにとっては、問題だった。
 めくれど、めくれど変わらない、ベルベットの海。せめて後宮中心部か、旧市街へのエレベーターにでも出られれば良いのだが……辿り着ける兆候さえ、見られなかった。
「うーん、参ったな。あんま放っておくと、ご主人のヤツも怒るかも……」
 頭を掻き掻き、セルージャは回廊を曲がった。
 永遠の時間がある守護者に遭難の心配はないのだが、ネクロポリスに置いてきた可愛いアンデッドの少女達が、今頃淋しがっているかも知れない。
 さらにカーテンをめくり、豪華な調度の揃った寝室を見回して――セルージャは、一点に目を留めた。
「レイシャ」
 全身に浴びせられた精液を丹念に舐め取っているのは、至聖後宮回廊の守護者、魔メイドのレイシャだった。
 気付けば、部屋中には濃厚な性臭が立ちこめている。つい先ほどまで、回廊の住人がレイシャに奉仕をさせていたのだろう。
「おうレイシャ、いいトコで会ったや。ちょっと道がわかんなくなっちまったんだけど、ネクロポリスまで送ってくれよ」
 陽気に声をかけてみるが、レイシャはわずかに視線を上げたきり、答える様子もない。
「………」
 セルージャは手近なベッドに腰掛けて、もう一度声を張り上げた。
「レ、イ、シャ!! ネクロポリスまで送ってくれっつってんだろ!」
「私の仕事は、回廊のお客様に御奉仕し、回廊の状態を保持することです。守護者、魔神の世話は含まれていません」
「にゅぐっ……」
 こいつの性格を忘れてた――セルージャは髪を掻きむしって、毒づいた。
「あんなぁ、お前! 仕事がどうのってゆー問題じゃねえだろぅよ」
「守護者のすべきことは、御主人様に与えられた仕事を完遂することです」
「かー!」
 セルージャはベッドから立ち上がり、レイシャの首根っこを掴もうとして――
「お?」
 メイド服のエプロンを高く押し上げる、レイシャの怒張に気付いた。
 それは微かに震えるようにして、内に溜め込まれた欲望の量を誇示している。よく見れば、無表情なレイシャの頬も、上気が抜けないように赤みを残していた。
「お前……さっきまで、してたんだろ? 出さなかったのか?」
「――お客様がご希望されませんでしたから…」
 レイシャは目を伏せた。精液の量を考えれば、数人の娘を相手に、馬鹿正直に奉仕をしていたのだろう。
「ったく、バッカだなあ、お前。どーしてお前はそう、自分のこととか考えねえんだよ!?」
「自分のこと……?」
 セルージャはなぜか無性に腹が立って、語気を荒げた。
「そうだ! てめーのことだよ! 自分のことも分かんねえって言うんじゃ――」
 ――私は、自分が何なのか、分からない。
 あの少女の言葉を思い出し、セルージャの言葉が止まった。
 ――こいつも……同じなのか?
 握っていた拳を解いて、セルージャはレイシャの前にしゃがみこんだ。
「貸してみな、オレが看護してやるよ」
「結構です」
「貸せっつってんだろ!」
「あ! セ、セルージャさん!?」
 エプロンとスカートをめくり、熱く脈打つペニスを握ると、レイシャは掠れた声を上げた。
「こんなにデカくして……結構抜いてないんじゃねえのか? 体に悪いぜぇ、俺達魔族はほっといても精力が溜まりすぎるんだからな…」
「は……ぅ…い、いけません…まだ、仕事が……」
「部屋の掃除なんて後でもできるだろ。それにこんだけ溜まってりゃ、すぐに終わるさ」
 巨大なペニスに舌を這わせながら、セルージャは豊満な胸を押しつけた。谷間に熱い肉を挟み込み、唾液を垂らして上下に揺する。
 レイシャの鈴口から溢れた透明な粘液も加わり、セルージャの胸の谷間は淫らな音を立てて動いた。
「セ…ルージャ…さ…ん……は…あっ……」 
 褐色の肉球が潰れ、揉まれ、硬い陽根を包んでいく。人並み外れた胸の弾力に押し出されそうになるペニスを、セルージャは舌で押さえて丹念にねぶる。
「あ…あ!」
「おっと! まだだぜ…」
 小さな眼鏡の奥でレイシャがこぼした涙を見逃さず、セルージャは巧みな責めを中断した。
「こんだけのモノだからな……やっぱ、女の方も使わないと」
 セルージャはペニスに手を添えたまま、大きく股を開いてレイシャに跨った。
 褐色の恥丘の下に小さく開いた女性器は、セルージャの呼吸に合わせて白濁した粘液を漏らし続けている。
 液は糸を引きながらレイシャの先端にこぼれ落ちて、熱い肉茎を期待に震わせていた。
 もちろん、セルージャのペニスも激しく勃起している。自らの手でそれをしごきながら、セルージャは腰を落とした。
 太い先端部分が、セルージャの柔らかな膣口を押し広げていく。わずかな苦痛。眉根を寄せてそれに耐えながら、セルージャはさらに深くレイシャを受け入れた。
 ずるり、という勢いと共に、膣の筋肉が狭まった箇所を、レイシャの亀頭がくぐり抜けた。瞬間、凄まじい量の快感がセルージャを突き抜ける。
「くっ、はああぁぁぁっ!!! き、キツ…い…ぜ……やっぱ……ぐぅぅ!!」
「あ、ああぁ!? す、すごい……セルージャさん……こんなに…」
 押し寄せる甘美な波にまかせて、セルージャは一気にレイシャにのしかかった。
 太いペニスは根本まで飲みこまれ、セルージャの子宮口が突き上げられる。
「ひあっ!? や、やばっ…もう……くううッ!!」
 両手で自分のペニスをつかんで、セルージャは大股を広げたまま射精を始めた。
 のけぞる度に勢い良く精液が噴出し、レイシャの顔を汚していく。
「は……はあっ…あんまり…すごいから、入れた…だけで、イッちまったぜ…はあっ、はあっ…」
「ああ……セ、セルージャ…さん……もう……満足でしょう? やめて……」
「ん〜!? まぁだそんなこと言ってんのか!? オレの中でこんなになっといて……。へへ、いいぜ。オレも今のですっきりしたから、根比べだ。ほらよぉ」
 セルージャは肛門と膣口に力を込め、括約筋で一気にレイシャを締め上げた。体内でレイシャのペニスがますます大きくなる感触に、セルージャは思わず笑みを見せる。
「くうぅ……堪んねえ……」
 自分の胸を揉みしだくセルージャの膣は、さらにさらに愛液を吐き出していた。レイシャの下半身から絨毯までが濡れ、腰の上下と共に飛沫が飛び散っている。
「ひゅ…あ……ぐ…うう…」
 レイシャは両の目に涙を溜めながら、エプロンの端を噛んで射精を堪えていた。
 ――まったく、強情なヤツだぜ。
 快感に酔いながら、セルージャは下腹から鳩尾までの腹筋に力を込めた。
 鍛え上げられた筋肉は、魔族特有の内臓越しに、セルージャの膣を搾り上げた。
 腰の動きと、膣口の収縮と、うねる腹筋が、一斉にレイシャのペニスを責め立てる。ただでさえ精緻に入り組んだ襞を持つ名器である。保つはずがない。
「ぅ……ぅ……あ、ああああああああぁぁぁーっ!!!!」
 海老反りにのけ反ったまま、レイシャは絶叫して精を放った。
「くぅぅ…いいぜ……溢れて…やがる……」
 たちまちに満たされる子宮の質量を感じながら、セルージャもレイシャの上に精液を浴びせかけた。
「はあ……はあっ…あ…」
「へっ、ホラ見ろ……腹が…はち切れそうだぜ……よくこんなに溜めたもんだ」
 レイシャのものが引き抜かれると、セルージャの股間から白い液体が滝のように流れ落ちた。
 二人の粘液にまみれ、それでもまだレイシャのペニスは、脈打ちながら精液を漏らしている。
「――何とか言えよ」
 放心して横たわるレイシャを見下ろしながら、セルージャは妙なわだかまりを胸に感じていた。
「おい、レイシャ…」
 精液の池に倒れたメイドは、答えない。
 ――これじゃあ、オレが悪者じゃねえか。
「へっ! 勝手にしろ、バカ! 出口は自分で探すぜ!」
 備え付けの紙で股間を拭うと、セルージャは床を踏みならしながらカーテンをくぐっていった。
 ――やっぱり、あいつは気に食わねえ!
 カーテンの群を引きちぎるようにかき分けながら、後宮の中心部目指して歩いていく。

 部屋に残されたレイシャは、自分の顔に流れるセルージャの体液を口に含みながら、小さく言葉を漏らしていた。
「どうして……だろう。暖かかった……」
 無限に広がる回廊の中、ないはずの心が、微かに揺れ始めていた。
(続く)