バルボIQ戦記  外伝
         刹那の愛を護る者・永久の愛を紡ぐ者
     (夜魔)
       

 そこは、まさに地獄絵図だった。
 いや、単なる地獄ならば、彼女らには恐れることはなかった。混沌の寵を受けし者にとって、地獄とは近しい世界である。
 しかし、目の前に繰り広げられる世界は、他に言い表す言葉が浮かばない。
 多くの仲間達、そして敵である者達が肩を並べて戦い、そして共に傷ついていた。一騎当千、いや、万の軍にも匹敵する力を持った強者である。それが、いともあっさりとなぎ倒される様は、到底現実のものとは思えなかった。
 それのみならず、同時に別の場所では、魔人Rebisが迷宮の守護者までが傷つき闘い破れうち倒されていた。彼女らの主とも肩を並べる程の力を持った存在である、彼女たちですら。
 バルボIQ。あらゆる存在を無に帰すモノ。
 栄華を誇った第二期魔導帝国を歴史の上から葬ったこの兵神は、今まさに、彼女たちの楽園を喰いつくさんとしていた。

「ハッ!」
 セリオス=トシテル=アカバロアは、鋭い呼気と共に、背丈ほどはあろうかという大剣、天狼剣を振るった。数々の魔人を斬りふせたその剣は、鞭のように襲い来る腕を左右に斬り落とし、見事にバルボIQの小型兵装、メンバーズを貫いた。
 メンバーズは、まるで生き物のように痙攣を繰り返し、そしてついにぴくりとも動かなくなった。
 崩れ落ちた残骸を蹴り飛ばすと、セリオスは戦場を見渡した。
 所々で立ち上る煙。無惨に崩れ落ちた神殿。毎日の様に仲間と愛し合った寝所も、今はその痕跡すら見いだせない。セリオスの緑色の瞳が、淋しげに翳った。
 つい先日のことが、ひどく懐かしい。ザラの気高くも淫らな痴態や、仲間達と繰り広げた愛欲に満ちた狂宴の日々。セリオスは、我知らずそそり立つペニスをしごき、天狼剣をその豊かな胸に挟むと唾液をまぶしながら乳房に擦り付けた。男性・女性、両方のシンボルを身に宿す彼女たち。その楽園がこの魔人Rebisの迷宮であった。
 我を忘れ敵を斬り倒していたセリオスは、自分が完全に一人きりになっているのに気付いたのだった。戦いの興奮がセリオスの性欲を高め、その高ぶりが新たな戦いを求めた結果だった。
 皆は、どうしたろう? あの時、私達を守るために巨大な兵装肢に立ち向かっていった敬愛するザラ様。ザラ様に限って、万に一つも間違いは無いだろうが、付き従ったファルカナやディータは、無事だろうか? 私と共に、奴隷達を守って闘った仲間は?
 ペニスから大量の精を吐き出すと、セリオスの高ぶりも幾分収まった。
 そのセリオスの目に飛び込んで来たのは、ピンクに髪を染めたハーフエルフ少女だった。
 ……確か、トーニャとか言ったか? ルキナの奴隷の。
 見れば、トーニャは背に逃げ遅れた混沌の子を庇いながら、必死にメンバーズと切り結んでいた。しかし、手にする短剣では攻撃を防ぐのが精一杯で、既に足や腕に軽い傷を負い、倒されるのは時間の問題であった。
 ……何故、私がルキナの奴隷を守らねばならぬ?
 セリオスは、きびすを返すと、その場から立ち去った。

 振り下ろされたメンバーズの剣を紙一重でかわしたトーニャ=グレイシャは、背後の子供が恐怖に立ちすくみ動けないのを見て舌打ちした。
 迂闊だった。
 ――一人仲間達からはぐれたトーニャは、どうやら逃げ遅れたらしい、崩れ落ちた神殿の奧で泣きじゃくっている混沌の子、メイアを見つけた。
 混沌に祝福され生まれた為に、初めての乳も与えられぬまま棄てられたメイアを救ったのは、レディオスだった。他の子供達同様に、レディオスが奴隷として育てている一人。同じようにレディオスに救われたトーニャにとっては、妹も同然の少女であった。
 濃い紫の髪を優しくなでつけあやしてあげると、メイアは安心したようにトーニャに体を預けた。「トーニャぁ、怖かったよぉ。どうしたの? ザラ様達が攻めてきたの?」 アメジストの様にきらきらと輝く瞳に涙を浮かべながら、メイアは尋ねた。メイアにとって、「敵」とは、ザラ以外になかった。その敵と言う概念とて、仲の悪い友だち、をそう越えるものではないのだが。
「ちがうよ。ザラ様が攻めてきたわけじゃない。あたし達の戦いは、こういうものじゃないから」 トーニャにも、現在自分たちを取り巻くこの状況はよく分かっていなかった。ただ一つ分かっていることは、今自分たちに危害を加えようとしている敵は、本気で自分たちを消し去ろうとしていること、それだけだった。
「さぁ、早く、ルキナ様の所へ帰ろう」
 トーニャは、メイアの手を取ると、神殿を飛び出した。
 しかし、もう少し慎重に行動するべきであった。既に主戦場は階層深部へと移っていたために、油断していたらしい。不注意に神殿から出たトーニャは、銀のボードに乗って空から舞い降りたメンバーズに不覚をとってしまったのだった――。
「早く逃げなさい! もう少し走れば、きっとルキナ様がキミを見つけてくれるから!」
 せめて、この子だけでも……。トーニャは、そう叫ぶと、鋭く伸びてきた刃先をかいくぐり、メンバーズの腕の付け根に短剣を突き立てた。
 カキーン! という乾いた音共に、根本から折れた短剣が、宙を舞う。
 と同時に、横殴りの籠手が、トーニャの体を打った。
「ぐっ!」
 激しく地面に叩きつけられたトーニャは、しかし、メンバーズが自分に向かってきているのを確認すると、満足げに笑った。
 ……今の内に、逃げなさい。さあ、早く。
 しかし。
「なっ、どうして! 逃げなさい、メイア!」
 自分に駆け寄るメイアに、トーニャが狂ったように叫ぶ。
 トーニャの声に、メンバーズがメイアの存在に気付いた。その無機質な顔が、にやりと笑ったように感じたのは、気のせいか。
 メイアに、メンバーズの剣が振り下ろされた。飛び散る鮮血が、トーニャの視界を赤く染めた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 潰されたメイアの映像は、しかし次の瞬間、左腕を真っ赤に染めた、巨大な剣を携えた美しい騎士の映像に訂正された。メイアに覆い被さるようにして庇った騎士、セリオスの左腕には、深くメンバーズの剣が食い込んでいた。
 メイアは、泣きながらトーニャの腕に飛び込んできた。その体をしっかりと抱きしめながら、トーニャは信じられないという風にセリオスを見つめた。
 セリオスは、力の入らない左腕を棄て、右腕一本で天狼剣を振るった。腕からは激しい出血が続いていた。そのため、セリオスの剣はいつもの鋭さを欠いていた。しかし、それですら、セリオスの剣技はメンバーズを切り倒すに十分であった。
「全く、何故こんな余計な事を……」
 戦いには勝利したセリオスではあるが、出血が多すぎた。セリオスは、自問のような、嘲りのようなつぶやきを残し、そのままその場に崩れ落ちた。

 懐かしい風景だった。
 思い出したくない風景だった。
「セリオス、お前は所詮女なんだ。剣なんか振り回している暇があったら、男を悦ばせる技の一つでも覚えてみろよ」
 下卑た笑いを浮かべる男共の中で、セリオスは毎日剣の鍛錬を続けた。それ以外に、アカバロア家を守る術はないのだから。父は、戦場で勇敢に散ったという。兄もまた、騎士に恥じぬ生き様を示したという。それなのに。
 家を継ぐ者がいなければ、アカバロア家は潰されてしまう。下級騎士とはいえ、長く王家に仕えてきた誇りもある。そしてそれ以上に、父や兄が守ろうとしたアカバロア家の名が無くなるのだ。セリオスは、それだけは耐えられなかった。
 だから、騎士の道を選んだ。
 剣の技さえ磨けば、認められる。そう思い、セリオスは遮二無二剣を振るい続けた。戦場でも、幾多の武勲を上げた。
 しかし、いくら頑張っても、『女』であるという壁は乗り越えることは出来なかった。
 そんなある夜。セリオスは、野営の天幕の戸がゆっくりと開かれる気配で目を覚ました。
 明かりは逆光だったが、セリオスにはその男が誰であるかすぐ分かった。自分が属する小隊の長、ニールセン。ガタイばかりでかく、頭の悪い男だった。
 ニールセンが、何故こんな時間に? 答えは、明白だった。
「出て行け! 貴様を部屋に招いた憶えはないぞ!」
 右手をベッドの横に立てた剣に伸ばす。
 しかし、それより早く、ニールセンが剣を蹴り飛ばした。
「セリオス、悪いようにはしねーぜ? 俺が、女の悦びってって奴を教えてやるよ」
 ニールセンは、そのままセリオスにのしかかり、夜着を引きちぎった。薄明かりでもはっきりとわかる白い肌。その美しい乳房を、ニールセンは乱暴に挑み掛かろうとした。
「な、退け!」
 下からニールセンを蹴り上げ、セリオスは一挙動で立ち上がった。
「つれねーなぁ。いいのか? ここで俺に逆らえば、明日にでもお前を除隊させても良いんだぜ?」 いやらしい笑みを浮かべながら、ゆっくりとセリオスに近づくニールセン。
「そうしたら、もう何処もお前を騎士として雇っちゃくれねーぞ。それでもいいのか?」
 その言葉に、セリオスは、全てを諦めた。これも、アカバロアの名を守るためだ……。
 おとなしくなったセリオスに、ニールセンが手を伸ばしたとき、それは降ってきた。
「きゃぁぁ!」
 目の前に稲妻が落ちたような衝撃と共に、セリオスは跳ね飛ばされ、天幕に激しく体を打ち付けられた。立った今までニールセンが立っていた場所には、巨大な剣が突き刺さっていた。ニールセンの体は跡形もない。
『我を取れ、騎士よ。我は天狼。魔をうち倒す剣なり』
 そんな声が、セリオスの頭に響いたような気がした。
 ふらふらと吸い寄せられるように、セリオスの手が剣に伸びた。
 ……歌が聞こえる? これは、優しい声……。
 セリオスの意識は、急激に現実の世界へ戻っていった。

 トーニャは歌っていた。勇者をたたえる歌を。凶悪な火竜をうち砕き、囚われの姫を助けた勇敢なる騎士の歌を。膝の上には、時折うなされるセリオスの美しい顔があった。そのたびに、優しく頬を撫で、語りかけるように歌を紡ぐ。
 左腕には、痛々しく包帯が巻かれたいた。二人の横には、命を賭して守った子供が安らかな寝息を立てていた。しかし、まだここは安息の地ではなかった。守護者の奮闘で一旦バルボIQの攻撃は収まってはいるが、いつまた反撃を開始するかは分からない。
 だからこそ、トーニャはセリオスに安らぎを与えたかった。戦士に安らぎを与える歌を歌うこと。それが、吟遊詩人であるトーニャの戦いだった。
 その時、セリオスが小さく呻くと、ゆっくり瞼を開けた。
「気が付いた? さっきはあの子をありがとう。セリオスさんよね。ザラ様のところの」
 優しく微笑みかける。
「何故、私を助けた? 私は、いずれルキナを倒すかも知れないのだぞ? ……くっ」
「ダメよ、まだ寝てなきゃ。あなたこそ、いま、あたし達を助けてくれたじゃない」
 立ち上がろうとするセリオスを、トーニャがゆっくりと寝かせる。
「さてな。あいつらが気に入らなかった。それだけ……敵と戦うのが、騎士である私の生き方だ」
 プイと横を向き、ぶっきらぼうに答える。微かに頬を染めるセリオスに、トーニャがクスリと笑う。「そんなことより、さっきの歌はなんだ? 敵に見つかったらどうするつもりだったのだ」
「あたしは、勇者をたたえる吟遊詩人。あたしには、これぐらいしかできないから……。気に障った?」
「……いや、良い歌だった。もっと聞かせて欲しい」
 トーニャは、嬉しそうに頷くと、ゆっくりと歌い出した。
 高く低く、朗々と響く美しい声にが、セリオスを包み込む。体の隅々にまで染みわたる声に、まるで全身を愛撫されているかのような心地よさを覚えた。
 徐々にそそり立つセリオスの肉剣に気づき、トーニャはクスリと笑うと、むき出しのセリオスの胸に手を伸ばした。歌声に合わせ、優しく、強く。弾力のある双球をリズミカルにもみほぐし、時折アクセントに乳首を摘んだり。
「傷にさわるから、動いちゃだめよ」
 そう言いながら、徐々に手の動きを早めるトーニャ。それに合わせて、トーニャの歌声とセリオスの声が重なる。剣を振るうときとは違う、艶やかな声。セリオスは、自分の後頭部にトーニャの高ぶりを感じた。
 そんな二人のハーモニーで目がさめたのか、横で寝ていたはずのメイアが寄ってきた。そそり立つセリオスの肉剣に気付くと、肩で切りそろえた髪を揺らしながら、嬉しそうに小さな舌を伸ばし舐めだした。チロチロと稚拙な愛撫が、セリオスには新鮮な快感を与えた。
「まだ、キミのお口には大きいね」
 トーニャは、優しくセリオスの頭をおろすと、メイアと並んでセリオスの足の間に跪いた。
「キミは、こっちね」 そういって、セリオスの愛液がこぼれる花びらを広げる。
「はぁい」
 鍛え上げられた両股の根本、ひっそりと息づくセリオスの秘部に、メイアは顔を押し込むと美味しそうに愛液を啜った。トーニャは、完全に勃起したセリオスのペニスをゆるゆるとこすると、唾液をまぶすように、ゆっくりと舐め上げた。裏すじや鈴口を攻めると、セリオスが耐えかねるように喘ぎ声を上げる。微妙な動きでセリオスの性感を煽り、繊細な指と舌で自在に声を上げさせる。
「あたし、楽器の扱いも手慣れたものでしょう?」
 そう言って笑うと、トーニャは深くセリオスのペニスをくわえ込んだ。
「あっ、はぁん、くぅ、あふ、はぁぁぁぁぁん!」
 巧みな舌使いで様々な音色を出させるトーニャに、セリオスが嬌声をあげる。最後に、トーニャに併せるかのように、メイアがセリオスの奧まで舌を差し込んだ。堪りかねたように、セリオスのペニスが爆発した。トーニャの口に収まりきらない精液が、セリオスのペニスを伝って流れ落ちる。それを、嬉しそうにメイアが舐め取った。新たな愛撫に、セリオスのペニスがまた大きくなる。
「キミもなかなか才能が有るね。後であたしが色々と教えて上げる」
 口内に溜まった精液を口移しでメイアに与えると、トーニャは頭を撫でながらそう言った。
「……トーニャ」
 潤んだセリオスの声。トーニャは頷くと、セリオスの左腕に負担が掛からないように注意しながら、先程から立ちっぱなしのペニスをセリオスのあそこにあてがった。熱く濡れそぼる秘口に、ゆっくりと性器を押し込んでいく。きつく締め上げられる感覚に、トーニャはその美しい喘ぎ声を響かせた。その声は、更にセリオスの肉門をきつく閉じさせ、トーニャの声を搾り取った。
「メイアと言ったか? こっちへおいで」
 小さいながらも勃起した男性器をいじっていたメイアに気付き、セリオスが優しく声を掛ける。とてとてと近寄ってくるメイアを自分の顔の上に座らせ、まだ皮の剥けていない小さな勃起を優しく唇で挟む。
「やぁん、変な感じなの」
 初めての感覚に体を震わせるメイアに、セリオスは初めて男としての快感を覚えた日を思い出した。優しく舌で絡め、吸い上げる。そうすると、先端を覆っていた邪魔な鎧を突き破って、メイアのピンクの亀頭が顔を出した。
「はじめまして」
 ちゅっと、キスをするセリオス。そして、そのまま、まだ毛も生えていない割れ目を舌でなぞる。新たな刺激に、メイアはおねだりするように可愛らしいお尻を振ってセリオスの口に性器を押しつける。
「メイア、セリオスのおっぱいでキミのを挟んで動かしてごらん」
 トーニャに言われ、メイアは素直に従った。
 柔らかいセリオスの胸の間に挟んだ小さなペニスを、メイアは本能に赴くまま動かした。無意識のうちにセリオスの乳首を摘み、こねる。
 その刺激が、トーニャのペニスを締め上げる。
「巧いよ、メイア。キミは、将来、良いラネーシアの戦士になれるかもね」
 セリオスのきつい締め上げの快楽で、トーニャの声もうわずっていた。
「それじゃ、動くね」
「はぁぁぁ、いいぞ、トーニャ……かはぁ!」
 トーニャが腰を動かすと、セリオスが応える。三人の嬌声が、素晴らしいハーモニーを奏で、荒みきったラネーシア神殿に響きわたった。まるで、ラネーシア神への賛美歌であるかのように。
「メイア、もう駄目だよぉ。何か出てきちゃう!」
 最初に根をあげたのはやはりメイアだった。
「メイア、おいで。ほら、私の口の中へ」
 セリオスは、メイアの小さなペニスをくわえると、舌先でカリ首をなぞった。
「あっ、あっ、ダメ、ダメぇ!」
 小さいながらも、熱く激しい放出がセリオスの喉を叩いた。最後の一滴までも吸い出すように、セリオスはメイアのペニスを放さなかった。
「あぁ、はやくイってくれないと、あたしが先にいちゃいそう……」
 激しく腰を使いながら、トーニャが呻いた。
「ねぇメイア、キミも手伝ってよ。セリオスのペニス、舐めて上げて」
 メイアは、小さな口で一所懸命セリオスの巨大なペニスに挑んだ。小さな胸に擦り付け、体全体で愛撫する。
「うん、いいぞ……」
 トーニャのペニスとメイアの愛撫で、セリオスも次第に追いつめられていった。
「メイア、出すぞ」
 そう宣言すると、セリオスは二度目の精を放った。メイアの顔を真っ白に染めるほどの大量の精液が吹き出し、周囲に飛び散る。
「もう、ダメぇ。いっちゃうよ!」
 腰を深くセリオスに打ち込むと、腰を震わせ、トーニャも達した。子宮を満たす熱い精液に、セリオスも体を震わせた。
「あぁ……」

 レディオスとリュカーナが、絡み合う三人を見つけたのは、ほぼ同時だった。
「トーニャ、見当たらないと思えば、こんな所でなにをしてるの……まぁ、メイア! トーニャが見つけてくれたの!?」
「まったく。セリオスったら、ルキナの奴隷と抱き合う暇があったら、こっちの加勢をしてよね」
 顔を見合わせ、どちらともなく苦笑が漏れる二人。
 戦局は、切迫していた。各個にパルボIQの兵装肢と闘っていたルキナとザラが、一時的に共同戦線を張ることになるのは、この直後のことである。