《魔神の辞典》第1.0版 編:玄魔
ネクロポリス・予言塔の地下深くに埋もれていた三枚の石版のうちの一枚。老翁・玄魔により発掘・解読され、墓石都市に奉納された。いまだ未判読の部分も多いが、封印されていた場所が予言塔であることから、時が来れば残りの部分もおのずから明らかになるだろうと云われている。
《RebisDungeon・魔神の辞典》は、RebisDungeonの掲示板・魔帝国旧市街に書き込みをする常連の方々が「魔神」と呼ばれていることを受けて、私玄魔が勝手に皆さんを「擬神化」し、そのプロフィールを記載したものです。最終的には常連の方すべて(何を持って常連とするかも難しい問題ですが)を掲載したいと思っていますが、今はまだある程度古株の方しかフォローできていません。
プロフィールの中には本人の特長に基づいたものもあれば、まったく無関係なものもあります。また、設定はあくまで玄魔個人による勝手なものであり、擬神化される当人の了承は原則として一切取っていません。閲覧の際にはそのことに留意していただくと同時に、もしご自分の(もしくは誰かの)設定に問題や不愉快を感じられた場合は直ちに修正しますので、ご指摘いただくようお願いします。
●凡 例
神々は基本的に、以下のフォーマットに従って記載されています。
(神名)名前です。アイウエオ順で並んでいます。
【称号・異名】神々に与えられた称号です。
【解説】神々の特徴・能力・座所などです。表現の仕方は色々ですが、基本的には全員姉妹編の人名辞典で云うところの「魔神級」の力を持っている偉大な神です。
【備考】その他の覚え書きなど。
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《RebisDungeon・魔神の辞典》
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奥玄地眼
【称号・異名】玄魔、玄魔翁
【解説】東海六魔が第三魔、蓬髪色黒の小兵の老人。三十二式の鬼拳を極め、千と五条の魔玄経を諳んじる老魁。元は人間で、後淫魔に身を堕としたとされる。迷宮を訪れる魔神の中で最年長というわけではないが、一番言動が年寄りじみているため皆から「翁」と呼ばれる。セルージャがお気に入りで、しばしばネクロポリスに侵入を試みては衛兵に殺されかけている。魔界リューマチ、魔界ギックリ腰、魔界椎間板ヘルニアなど数多くの持病持ち。パルボ動乱の際に降臨し、迷宮を救った十六柱の魔神「炯破十六魔神」の一柱。夜魔・無魔と共に先触れとしてインフィニア次幻樹に降臨した。
【備考】ちなみに炯破十六魔神とは、迷宮が一時封鎖されていた時に掲示板に励ましの書き込みをしてくれた方から取られている。ただしもっぱら記憶のみで抽出しているため洩れた方もいるかもしれない。ご容赦願いたい。
凱歌仙アルフ・ライラ
【称号・異名】
【解説】神幻七歌仙の一人、闘いのテーマを司る凱歌の神。フードを目深に被った黒髪の女の姿で顕わされる。一声万魔を奮わせ、一鼓天河を轟かすという。はじまりを暗示する魔記号αをその名に持つことから分かるように創造神の属であり、創造した世界同士を己の楽音の中で戦わせ、強者を選ぶことを娯楽とする七歌仙随一の武闘派。かつて書の魔神・μに師事しており、今でも「師匠」と呼び礼を欠かさない。
【備考】ちなみに他の七歌仙には竜歌仙クリプトメリア、幻歌仙ピナカイア、撃歌仙ズンタタ魔神などがいる。
空神J
【称号・異名】〈J.Z〉
【解説】翼を備えた天駆ける蛇の姿で顕わされる天空の神。最も古い文献には「J.Z」の二文字で記されており、それぞれ「翻って天へ昇る」「稲妻のごとく駆ける」姿を象ったものだとされる。名門「九頭巳」の血統に連なる竜族のエリート中のエリートで、上天より堕ちた百八の鬼を喰らってその腹に収めている。
【備考】
激聖UG
【称号・異名】〈数える者〉
【解説】〈数える者〉の異名を持つ数の魔神。〈マルテの0〉から〈カミルの8〉まで遍く連なる宇宙の数を司り、彼が数え上げるに従って万物は進行し、展開し、終焉を迎える。この世のあらゆる計数機が回るのは彼のおかげである。かつて二億四千万の敵に直面し、少しも臆せず一匹残らず数え倒して宇宙を平定した業を称え「激聖」の名を冠せられた。ある世界では理科系の受験生がよく拝みにくる。
【備考】
原始自我尊イグレック・O
【称号・異名】超自我の独尊、歪めし狐
【解説】
〈絶え間なく紡がれ続けるおぼろな言霊の列を、紗のように纏い、雲のように踏んで、そのものは空から降りてきた。
∴鼻、城、関節技、フェンダ・パイル、釘で猫を掻いて色ガラスに透かしてみたくはないか? 火事・ゾラ・発条・賽子・コンビネーション、鯵とスパナで立ち上がろう、十二年目の月は電波のサラダを食べない∴
歪みの悟りを拓く者。狭間の県より来たる者。背光まばゆく金雲たなびく、二十七本の尾を持つ歪めし狐。
〈パルボIQ戦記・魔神の章より〉〉
聖三字〈S.Y.O.〉で知られる言霊の世尊。錦の光と言霊の紗をまとい、二十七本の尾を持つ黄金の狐の姿で描かれる。「四十七番目の狭間の県」と呼ばれる歪空間に住まうという。〈歪みの悟り〉を拓いた神であり、何気なく口にする言葉の一つ一つまでが金剛般若級の霊力を持つ。霊格の低い者なら耳にしただけで自我が霧消し、聖賢でさえ発狂する者がある。炯破十六魔神の一柱で、インフィニア次幻樹に降臨しメンバーズ達を駆逐した。
【備考】
剣星シリウス
【称号・異名】つるぎの王者
【解説】
〈その姿は、億の剣をもって表されると云う。
星神の円卓がどれほど必死になって彼を追放しようと。天界の碑板から一つ残らずその名を削り取ろうと。あまりにも強大なその力の証、無窮なる天球に深々と刻まれたその恐怖の記憶までも拭い去ることはできない。
仰ぎ見よ。彼はいつでもそこにいる。
〈パルボIQ戦記・魔神の章より〉〉
宙に舞う幾億の剣の姿で顕わされる墜ちた星神。かつて星界の重鎮でありながら「恐るべき罪」を企み、宇宙秩序に重大な破綻をもたらしたために碑板墓場へ永久追放の刑に処されたのだという。彼の犯した罪が何なのかは謎であるが、次元海西方ならばどの宇宙でも目にすることのできる天球頂点の〈大赤裂〉がその痕跡の一つだという。今にいたるまで、剣星の名は西の星界では絶対の禁句である。炯破十六魔神の一柱で、スラーネッシュ神殿に降臨し〈右翼〉を退けた。
【備考】
黄竜コウ
【称号・異名】
【解説】混沌のただ中に生を受け、大中華にて四神を束ねる黄竜一族の一人。金髪金眼、黄の道服を身にまとった両性具有者の姿で顕わされる。千の次元を操作する力を持ち、その力が巨大すぎる故に竜宮の深淵の中から出ることが許されない。かわりに無数の分体を産み出し、それらを操って次元群を漫遊しているという。迷宮を訪れているのもこのような分体の一つであり、現在は華劇紅房宮が気に入って居着いている模様。神格の高さのわりにノリが軽い。
【備考】
正心外道UUUオミクロン
【称号・異名】〈U.W.O.〉
【解説】聖三字〈U.W.O.〉で知られる異形の神。ダイヤモンドの瞳と竜の鱗を持った虹色のコンドルの姿で顕わされる。怪獣・怪人の大軍団を配下に抱え、幾多の宇宙と英雄達を滅亡させてきた邪神であるが、俳諧をたしなむ風流人でもある。
【備考】
小聖性徳寝居国守・菅嬌極鳴神大公(しょうせいしょうとくねいのくにつかみ・すげのきょうごくなるかみたいこう)
【称号・異名】菅公、小菅公、〈S.N.K.〉
【解説】
〈夜の秘密を知りたいか? ならば、彼の地を訪れるがいい。
淫の謎を解きたいか? ならば、彼の門を叩くがいい。
そこは終わりなき宴の領国。鬼神も、聖者も、夢魔さえも、一度門を潜れば、その支配から逃れることは叶わない。
途切れることのない性夜の王国。その支配者、性の神にして夜の神、雅なる領主。
〈パルボIQ戦記・魔神の章より〉〉
聖三字〈S.N.K.〉で知られ、終わることのない性なる夜の王国「寝居国」を統べる雅なる貴族。中世極東風の衣装を身につけ扇を持った姿で顕わされる。夜の神であると同時に「鳴神」の名が示す通り雷神でもあり、迷宮を訪れる魔神の中では最も古き神々に属する。炯破十六魔神の一柱で、地獄に降臨し〈右脚〉を退けた。「〜おじゃる」言葉で喋るのが口癖。
【備考】
聖夜行路
【称号・異名】夜魔、桐耶
【解説】東海六魔が第六魔、夜の翼と三日月の瞳、淫無と悪夢を操る四枚の舌を持つ闇き貴公子。全身を漆黒で覆った痩身の青年の姿で顕わされる。闇の一族の王家の出身だが、一族の禁を破って聖夜に陽光の世界を踏んだため放逐された。一度は次元海に居城を構えるものの手入れの悪さがたたって廃墟と化し、そちこちの世界をふらふらとしていたが、玄魔の誘いに応じ迷宮に顔を出すようになる。陰謀と皮肉を好む冷たくシニカルな性格だが、実は恐妻家。炯破十六魔神の一柱で、玄魔・無魔と共に先触れとしてインフィニア次幻樹に降臨した後、アルセノテリス交易社務所を襲った〈左翼〉をヨッド・メーム・サメクと共に撃滅した。
【備考】私(玄魔)に誘われて迷宮を訪れたのは本当。他にもいくつか本当のことがあるが読者諸賢の推察に任せる。ちなみに残りの東海六魔の名前はそれぞれ第一魔・森羅七滅、第二魔・凌王至極、第四魔・右門独脚という。
世界霊カラーズ・アース
【称号・異名】〈Y.Y〉
【解説】
〈もし貴方が赤い砂漠の真中で、三日も食べずに飢えていて、隣に誰か見知らぬ人がいるのなら、試しに願い事を口にしてみるがいい。百万に一つの確率で彼は〈カラーズ・アース〉という名の人物であるかも知れず、さらにもう百万に一つの確率で彼が貴方に興味を持ってくれたなら、およそどんな望みであれこの世界そのものが貴方の後押しをしてくれるだろう。無論、投機の対象にするには分の悪すぎる賭ではあるが……
〈カラーズ・アース古歌より〉〉
砂塵と荒野とヴァルキリーの世界、カラーズ・アースを統べる世界霊。双つ並んだ三叉の星を己の紋章とする。迷宮を訪れる魔神の中でおそらく最も多くの分身を持っており、凶暴な女戦士から狡猾な聖職者に至るまでありとあらゆす姿で己の世界はた他の世界を散策し、時たま気まぐれに人の望みを叶えるという。
【備考】
大神官
【称号・異名】なし
【解説】
〈彼自身の名も、また彼の仕える神の名も、誰一人として知る者はない。
それは奇形の神であるという。それは肉の神であるという。それは少女の姿を取るという。その神の名を、知る者はない。
だが、知るまでもなく判っていることもある。それは、彼が、天地を貫くその信仰と、魂の奥底から汲み出される無限の法力とが、真に比類無きものであるということ。
だから人は彼の名を知らずとも、その称号だけで彼を呼ぶのだ。
〈パルボIQ戦記・魔神の章より〉〉
名もなき奇形の快楽の神に魂を捧げた偉大なる信仰者。本名は誰も知らず、ただ称号だけが人々に知られている。比類なき法力の持ち主で、異形の少女ばかりが住まうという「楽園」と呼ばれる惑星空間を統治する。古代神術「カルテジアン」を得意とし、自らのことを「小生」と呼ぶなどいささか古風な面の多い神。炯破十六魔神の一柱で、アルセノテリス社務所にやや遅れて降臨し、社務所の再建を手がけた。
【備考】
T.Z.グラディウス
【称号・異名】宇宙の軍神、無人の天を駆ける者
【解説】
〈嵐が来る。
いや、違う。
嵐が、征く。美やかなる鋼鉄の嵐が。
数百、数千、いや数万の、少女の姿をした鋼鉄の翼が虚空を覆う。数十万のビームの嵐が、機動破片を焼き尽くしてゆく。その姿にはレイシャは見覚えがあった。回廊の賓客の中に、同じ姿をした少女がいる。
そしてその中心にあって、一際輝く巨大な光の翼こそは。
億万の雷の龍が空を乱舞し、真昼のように周囲の空間を照らし出した。ビームを逃れた機動破片達が、龍の顎で粉々に裂き砕かれる。
その閃光を跳ね返し鋭く輝く、鋼の天馬に打ちまたがるその姿。青紅碧紫四色の瑞光を従え、無人の天を駆ける者。
〈パルボIQ戦記・魔神の章より〉〉
四色の瑞光をまとい、銀鋼の天馬にうちまたがって宇宙を駆ける軍神。大銀河団の一角に陽電子の牙城を構え、鋼鉄の翼を備えた戦闘少女数千の軍団を配下に擁して《菌群》の名で呼ばれる創世剣の化身達と日々激しい戦いを繰り広げている。その輝かしい戦績と人徳の篤さは宇宙に遍く知れ渡り、霊帝より特に自治を許されているほどである。戦時に随伴する四色の光は四元の機聖霊〈フォース〉で、それぞれ〈大いなる毒蛇(青)〉〈白き崖の王(赤)〉〈翡翠の騎士(緑)〉〈陽電子の竜刀(紫)〉の名がある。炯破十六魔神の一柱で、鉄神エロイザーと共に次元海を航行中の第四・第五階層を守護し、ヘキサデクスまで導いた。
【備考】
鉄神エロイザーX
【称号・異名】鉄神、銀河戦神、宙爆ロボ
【解説】
〈「これは……!」レイシャは絶句した。レーダーがブラックアウトしたかと思ったが違う。あまりに巨大すぎて、画面内に捉えきれないのだ。モニタを埋めるのはただ、大質量の闇ばかり。
暗黒の中から、鋼鉄と鋼鉄のぶつかり合う、熱く重い響きが宇宙を震わせた。はるか上方に、人の眼に似た二つの光がボウ……と灯る。
外部照明をオンにすることを、ようやくレイシャは思いついた。サーチライトが虚空を駆け巡り、そこに照らし出されたものを見てもう一度レイシャは絶句した。
次元の闇に照り映える、蒼と紅との鋼のボディ。
胸に輝くXマーク。
その拳は山をも掴み、その一歩は大湖を穿つ。異界の童歌にかく歌う……〈僕等の夢ほどデカい奴〉
〈パルボIQ戦記・魔神の章より〉〉
夢より大きく愛より強い、宇宙に聳える大鉄神。胸に赤い「X」の紋章を刻んだ、青く輝く鉄の巨神の姿で顕わされる。2億8000万宇宙馬力のパワーは銀河の軌道を変え、超時空合金エロニュウムGGX製のボディは恒星の激突も跳ね返す。迷宮を訪れる魔神の中でも物理力では最強を誇る豪傑だが、実は子供に弱いという意外な一面もある。炯破十六魔神の一柱で、レイシャがDMより託されたペンダントの召喚により顕現し、次元海を航行中の第四・第五階層を守護した。
【備考】
天涯無角
【称号・異名】無魔、東海六魔が第五魔
【解説】東海六魔が第五魔、巌のような巨躯と吹雪のような眼差しを持つ拳鬼。鬼族でありながら角がなく、神通力が使えない。それを補うために五体を鍛え、流派・無極伐皇紅錬拳を創始した。かつてその拳で星の北極を打って南極を崩したという「通極崩星」の逸話がある。ティー=トゥー=イェンの師匠であり、無極伐皇紅錬拳は彼女に受け継がれている。炯破十六魔神の一柱で、玄魔・夜魔と共にインフィニア次幻樹に降臨した。
【備考】玄魔・夜魔の設定から派生した、完全に架空の魔神。ティー=トゥー=イェンの師匠という設定があったため、パルボ戦記に登場させた。
常前真闇
【称号・異名】ブラックホールの母王
【解説】
〈彼が一体「何」であるのか? その問いに答えが与えられることは、恐らく未来永劫無いだろう。
彼の姿を捉えることは誰にもできない。光も、音も、思念さえも、すべては彼の領域へと吸い込まれ、そして二度と出てくることはない。
そこにあるのは闇のただ闇。かつて一人の狂える詩人が紡いだわずかな言葉だけが、彼の姿への唯一の手がかり。曰く
〈彼の者と対峙する時光無く、風無く、刻も無し。
彼の時我が前には常永久に、真なる闇のあるばかり〉
〈パルボIQ戦記・魔神の章より〉〉
虚無、暗黒、絶対無明を本態とする負の太母神。宇宙創生の種ともいえる〈絶対座標〉を己の内に備え、もって万象を吸い込み虚無へと孵すのを業とする。その闇を覗き込んで境界を越え、こちら側へ戻って来た者はいない。炯破十六魔神の一柱で、旧スラーネッシュ神殿に降臨し〈左腕〉を退けた。
【備考】
肉神アーセカ
【称号・異名】肉神、〈A.S.K〉
【解説】
〈それは、巨大な肉の山に見えた。それは、あまりにも完璧に美しすぎる肉体にも見えた。時にはそれは、腐肉をぶらさげた髑髏にさえ見えた。
千の姿を持つ肉の王。明日を操る未来神。戦女達を従えた淫らなる闘神。無数の呼び名はどれも真実であり、そしてどれも真実のすべてではない。だがどちらにせよ、名前など今はどうでもいいのだ。どんな名で呼ぼうと、彼の愛するこの迷宮を汚したこの者達にはもはや明日など無いのだから。
時と肉、淫と武とを統べる未来城の主。そう、それは例えばこんな名だ……
〈パルボIQ戦記・魔神の章より〉〉
聖三字〈A.S.K.〉で知られる肉の王神。時の輪が途切れた先にあるといわれる「肉城」に住まい、淫らなる戦乙女達の集う天空の闘技場セイバー・ザ・パレスを主催する。その姿はしばしば空一面を覆い尽くす肉塊、あるいは腐肉をまとう髑髏と瑞々しい女体との対などとして顕わされるが本質的には不確定であり、千の名と千の姿を持つと伝えられている。「アーセカ」という名もその聖三字に便宜上の読みを振っただけであり、正しい発音は誰も知らない。神殿を含め迷宮全体に最も多くの奴隷を贈った神であり、迷宮を訪れる魔神達の中でも主神格を占める。炯破十六魔神の一柱で、旧スラーネッシュ神殿に降臨し、神殿を埋め尽くすメンバーズ達を一瞬で消滅させた。
【備考】
埴輪海皇
【称号・異名】海魔
【解説】
〈永遠という言葉が意味を失う闇洋の奥彼方、その闇よりもさらに深い虚劫の空洞が三つ、ぼっかりと空いた。
溶岩の中から炎を袈散らして、一本の塔がそそり立った。すぐに続いてもう一本、また一本……全部で八本の塔は、沸き立つ火焔の海を縁取り、ぬめぬめと真紅に輝いて天へと伸びる。
違う、塔ではない。巨大な触手だ。八陣を描くその中心に生まれた溶岩の渦がぐぼりと沈み、鮮紅色のドームが浮上する。その側面に開く三つの洞こそは虚無。二つは瞳、一つは顎、虚ろな闇は何を映し、何を呑むのか?
全身が浮上した。かつて創造の時、元始の大海を撹拌したというその姿が地獄の炎に照らされる。八本の脚を持つ、紅色の偶像。
〈パルボIQ戦記・魔神の章より〉〉
最も古き神々の一柱、創世の時代に元始の生命海を攪拌して万物を生み出したと云われる海魔の王。八本の肢を持つ巨大な蛸の姿で顕わされ、その頭部には顔の代わりに闇より深い洞が三つ、目鼻のように開いているという。。この世界が生まれる以前に存在していた世界の住人が、やがて来る再生の日を祈って埋めた偶像が時を経て変じたともされているが定かでない。炯破十六魔神の一柱で、地獄に降臨し〈右脚〉によって停止した炎海を再励起した。
【備考】
速秀・ザ・ブレード
【称号・異名】ニンジャ・マスター
【解説】
〈その名は、故国の言葉で「速力に優れた者」を意味すると云う。
その号は、刃の扱いに巧みなる者に与えられる由と云う。
光より疾く夜を駆け、闇より昏く悪を斬る。その迫る足音を聴いた者は無く、閃く刃を見た者も無い。
死して尚屍を残さず、生きていようと影の如く。汝問うなかれ、闇を住処とするすべての者が畏怖を込めて囁くその名。漆黒のニンジャ・マスター。
〈パルボIQ戦記・魔神の章より〉〉
影に生き、影に死する極東の陰神。忍びの神であり、人知れず闇から闇へ渡り夜を守護することを業とするが、時に弱者の涙を汲めば漆黒の装束に身を包みニンジャ・ブレードで悪を切り裂く。魔神の中でも最もスピードに優れ、光より疾く闇より密やかなその刃からは魔王でさえ逃れられない。炯破十六魔神の一柱で、インフィニア次幻樹に降臨した。「〜御座る」言葉で喋るのが口癖。
【備考】
ビヨンド・ザ・タイム・ポー
【称号・異名】邪道化師
【解説】《忘れられた神》の名を手に入れ、時間を支配した大魔導師。水系聖位「時」の称号を持ち、あらゆる時空流体は方円の器に従う水のごとくに彼の意に従うが、その支配も及ばない時の彼岸で失った最愛の人を蘇らせるため永遠の放浪を続けている。神にも互する力を持つくせに妙に剽軽で腰が低いのが特徴で、現在は何を思ってか道化の姿で神殿に出入りしている。炯破十六魔神の一柱で、二本の兵装肢から神殿を守るため禁呪「無限加速砲」を解き放ち一度は絶命したが、〈C〉の称号を新たに手に入れて復活した。特技は料理。
【備考】
μ
【称号・異名】
【解説】淫魔界有数の規模を誇るグリキナトラリカ・メノラヒドロックス大碑文書館を一手に管理する書の魔神。「変異」の暗示を持つ魔記号μを己の名とし、数多くの〈落とし子〉を持つことから旧き混沌神の一属と考えられているが、その生い立ちは謎に包まれている。アカシア・レコード・アーカイヴの禁書館に出入りできる数少ない魔神の一柱で、智水晶の眼鏡の奥には幾万年にわたり蓄え続けた知恵が海のように満ちている。凱歌仙アルフ・ライラの師でもあり、現在は華劇紅房宮に散在する淫夢の結晶である「魔石」の収集と整理に熱中しているようだ。
【備考】
ヨッド・メーム・サメク
【称号・異名】滅砕の魔帝、剣帝、剣鬼
【解説】
〈その剣一本で。
虚無の中からかの〈Dの地球〉を斬り拓いたのだと、想像するのはいささか難しい。セルージャも、そしてこの兵神もまた、いささか想像力が足りなかった。
「夢想神伝流・改。錬続袈裟」
刃が動いた。
他の多くの神々と同様、彼もまたいくつもの名を持っている。今はただその中の一つ、一説によると三つ目の名だそうだが、その名で彼を呼ぼう〉
〈パルボIQ戦記・魔神の章より〉〉
聖三字〈J.M.S.〉で知られる孤高の剣帝。己の身より長い水晶の長剣を腰に佩いた、着流し姿の痩身の男の姿で顕わされる。我流の絶剣「夢想神伝流・改」を操る超剣士で、およそ次元を渡り歩くほどの英雄で剣の道を修める者であれば彼の名を伝説に知らぬことはない。かつてその剣一本で虚無の中より〈Dの地球〉と呼ばれる物語歪空間を斬り出したという。なお、ヨッド・メーム・サメクとは彼がいくつも持つ魔名のうち第三のものである。炯破十六魔神の一柱で、インフィニア次幻樹に降臨しパルボ本体の〈舌〉を千二十四の細片に切り散らした後、アルセノテリス交易社務所を襲った〈左翼〉を夜魔と共に撃滅した。
【備考】
竜王沙婆迩(サバニ)
【称号・異名】
【解説】赤い月の照らす地獄の底にあるといわれる魔界、《竜の道》を統べる竜王。翠に輝く鱗で赤い夜を駆ける、身の丈千里に及ぶ巨竜の姿で顕わされる。東方次元海で一二を争う凶神であり、眷属に従える竜娘達は数百に上るプレーンを滅ぼしてきた。
【備考】
龍虎将軍降劫天王
【称号・異名】白虎神将碧龍眼、龍虎将軍
【解説】
〈見よ!
見よ!!
見よ!!!
慶雲倶風を後に引き、雷公電母を脇に侍し、遍く百方一打で服す、畢勝無法のその姿! 虚天飛び往き慈海を渡り、神山獄河も乗り越えて、果てなん遠き西土より、魔宮の危機とぞ参ずるは、碧神龍の神通と、仙虎の地訣を併せ持つ、万魔不当の大将神! さア遠からん者は音に聞け、近くば寄って目にも見よ!! 西方楽土にその名も高き、二神の号を持つ男!!
〈パルボIQ戦記・魔神の章より〉〉
西方楽土は華界に名を轟かす神将。慶雲をまとい雷公電母雨師風伯を従える碧龍神であると同時に、凶骨を備え五道六甲七門八卦を意のままにする白虎神でもある。華界でも数少ない「二神の号」を極めた英傑で、その威は竜帝に通じ、気息は普嶽の雪を散らすと云われる。極彩色の鎧を着た武人の姿をとり、派手派手しい銅鑼の音と共に現れるのを好む。炯破十六魔神の一柱で、インフィニア次幻樹に降臨した。こちらの言葉はまだ不得手らしく、時折会話が片言混じりになる。
【備考】龍虎さんは実のところ常連とは言い難いが、大変珍しい中国語圏からのビジターだったので神格化。もしパルボ戦記を読んでたら怒ってるだろうか。
ロード・オブ・ノーザン・マロウ
【称号・異名】グレート・ノーザン、ロード・ノーザン、絶対無敵大魔王
【解説】
〈藍色の髪がうねり舞う。
白いローブの裾が、存在しない風を受けて翻る。
狂える科学を司る者。
絶対無敵の大魔王。
そして、混沌なる快楽の源〈かの者〉に最も近しい者。
魔神の中の魔神ロード・オブ・ノーザン・マロウは、その身に秘めた神気の凄まじさに比すれば不自然なほど変哲のない、眼鏡を掛けた白衣の男という姿で、ここRebisの迷宮に姿を現した。
〈パルボIQ戦記・魔神の章より〉〉
“大いなる北の魔”、極北の神嶽に狂える科学の要塞を構え“ロード”の号を持つ魔神の中の魔神。あまりに強大な神気を放つその姿を顕わす術とてないが、人界に降臨する際には藍色のスーツに白衣をはおり、中性的な顔立ちをした眼鏡の男の姿をとることが多い。迷宮を訪れる魔神の中でも別格の力を持ち、かつて天界の監視人《電膿天使》らと一戦を交えたこともある。炯破十六魔神の中で最後に降臨した神で、手にした鐘を鳴らして〈魔神達の夜〉のはじまりを告げた。
【備考】
ロード・オブ・ヘキサデンドロン
【称号・異名】
【解説】砂漠のただ中にそびえる、六支の枝を持った大樹の姿で顕わされる樹神。三千世界に梢を広げ“ロード”の号を持つ大神で、母界では世界樹として崇められている。梢の下に幾万の雷神を従え、天候を意のままに操る天神の格をも持っているという。
【備考】
[END]