■地下聖堂ショートストーリー   リビングファントム

 RebisとKOBAさんとのコラボ企画でお送りする、新キャラSSをお楽しみ下さい。
 デビューキャラ・静音の設定を、まずどうぞ。

(静音キャラ原案&テキスト:KOBA キャラデザ&CG:Rebis)

  木の実と果実で簡単な食事を済ませ、静音は今夜のねぐらを探す為に立ち上がった。 寝ようと思えば、誰にも悟られる事無く王宮や寺院に忍び込み、ふかふかのベッドを無断使用する事も出来るのだが、彼女は空が見える所でないと安眠できない体質だった。
 一度、神殿の中庭で寝た事があったが、夜明け前から何やら武闘家らしい女が一人で練習を始め、岩をも砕くような衝撃波を連発し始めたので危なくて寝ていられなかった。
 静音の姿が見えていればそんな事はされなかったのだろうが、いかんせん、彼女の姿は霊的レベルで隠蔽されており、何者にもその姿を捉える事は出来ない。
 静音は忍びだった。魔族と人間の混血で、両性具有。霊的な乱れのきわめて少ない体質であった彼女は、その姿を探知不能にする穏形刻印を何重にも施され、絶対的に探知不能の存在となっていた。
 彼女の初潮の血を封じたペンダントによって擬似的な気配を作り出す事で、ようやく認知可能になる。それも一日にほんの三十分足らずという状況では、殆ど居ないのと同様の扱いしかされなかった。
 彼女が重宝がられるのは、暗殺や偵察など、任務の時だけであった。
 静音はリビングファントム・・・生ける亡霊の二つ名を与えられ、戦場を駆けた。
 ある任務で、敵の魔導師を暗殺に向かった彼女は、彼が死ぬ間際に放った時空崩壊魔法の余波で、この、いずことも知れぬ世界へと飛ばされていた。
「・・・あれからもうひと月か・・・」
 眼下に海を見下ろす崖の縁に腰掛け、静音はつぶやく。
 その声は、たとえ真横に誰かが居ても、決して聞こえる事は無い。
 彼女が自分の存在を誰かに示すには、アイテムのペンダントを使うか、あるいは攻撃するか・・・。
「さて、何処で寝ようかな・・・」
 そう言いながら、静音は自分の腹部にそっと手をあてがう。下腹に甘い疼きが溜まっている。一日に一回、機械的に精液を搾り出しても、翌日には再び下腹部を疼かせ、放出を促してくる。淫蕩な魔族の血が、彼女の股間を疼かせるのだった。
「・・・」
 静音は無言で下履きを脱いで下半身をさらしていた。誰にも見られない、いや、見ることの出来ない存在である静音は、裸になる事への羞恥が薄かった。
 小柄で細みな身体つきとはアンバランスなペニスに白い指を絡め、機械的な単調さで扱き始める。
 妙にさめた表情のまま、一分程扱き続け、ため息をついてその作業を止めていた。
 ちょっと不機嫌そうな表情になった静音は、背中に負っていた忍び刀を抜いて目の前に突き立てた。
 つや消しの仕上げを施された無骨な造りの直刀だった。その表面に、ぷつり、と、汗のように銀色の雫が浮かび上がる。水銀の雫を思わせるそれは、次々に刀身の表面に浮き出し、やがてトロトロと刀身を伝い落ちる流れとなった。
 その先端が地面に着く寸前で停止し、ぐいっ!と、細い蛇のように頭をもたげる。
「来い!」
 静音が小さく言うのと同時に、小指ぐらいの太さになった銀色の粘液が静音のペニスに絡んでいた。
「ふぁぁ!」
 熱く脈動していたペニスに絡み付いてくる冷たい感触に静音は声を上げていた。
 ひくん!と大きく脈打ったペニスの先端から、トロリと先走りがこぼれる。
 一メートルほどの長さの触手状になった銀色の粘液は、静音のペニスに隙間無く巻きついていた。キチキチときしむような音を立てながら、静音のペニスを締め付ける。
「んぁ・・・あぁ・・・」
 締め付けられたペニスの先端から更に多くの先走りが溢れ、銀色の触手にぐるぐる巻きにされたペニスの表面を伝い落ちる。
 触手が脈動を開始した。根元から先端に向けて搾り上げるようにリズミカルに脈動し、放出を促す。
「うぁ・・・あぁ・・・も、もっとぉ・・・」
 地面にへたり込んだ静音は、更に強烈な快感を得ようとカクカクと空腰を使いながら銀色の触手に命じる。
 触手が微妙に振動し始めた。やがてそれはブーンという蜂の羽音のような音を立て始める。
「あはぁぁ!いっ!それっ!いいっ!」
 自分と霊的にコンタクトしている唯一の存在。魔道によって擬似生物化された刀の生んだ液体金属の触手に向かって甘く蕩けた声をかけながら、静音は高まっていく。
 強烈なバイブレーションにさらされたペニスからは、大量の先走りが飛び散っていた。  さらに、亀頭のすぐ下に巻きついていた部分が鎌首をもたげるように解け、先走りをトロトロと吐き出し続ける尿道口に狙いを定める。
「あっ・・・あぁぁ・・・来るの?・・・そこに、くるの?・・・来て・・・」
 潤んだ眼で自分のペニスを見つめながら静音は言う。
 その言葉を待っていたかのように、細かく振動し続ける銀色の触手が潤みきった尿道口に潜り込んでいた。
「ふあぁぁぁぁ!」
 踵と後頭部だけで身体を支える状態で、静音はのけぞっていた。
 狭く敏感な肉の細管の中を、振動する冷たい金属が奥へ、奥へと潜り込んでいく。
「あはぁ・・・く。来るっ!・・・ああんっ!・・・来るうううっ!」
 大きくのけぞったままの静音の身体が激しく痙攣し、一瞬、硬直する。



 ペニスだけがビクン、ビクンと、別の生き物のように脈動し続けていた。それと同時にペニスに巻きついていた銀色の触手の色が真珠のような乳白色に変化し始めた。太さもどんどん太くなっていく。
「あ・・・あぁ・・・あぁぁ・・・」
 のけぞったまま、静音は恍惚の表情を浮かべている。
 ふたまわりほど太くなった触手は、ゆっくりと解けながら刀の方へと戻り始めた。
 脈動は数分で弱まり、やがて止まった。
 静音は脱力して地面に横たわっている。
 ちゅぽん!と音を立てて触手が尿道口から抜け落ちた時に、一瞬身を震わせる。
 刀に這い寄った触手は、今度は刀身に巻き付き始めた。倍ぐらいの太さになった真珠色の触手が刀身に巻きつき、うねうねと蠢きながら刀身に吸い込まれていく。
 静音は一日一度、こうやってこの刀に自分の精液を与え、霊的なコンタクトを保っているのである。これによって、刀は静音の命じるままに液体金属の手裏剣を作り出し、刀身を鞭のように伸ばして敵を断つ。
 しばらくぐったりと横たわっていた静音はやがてのろのろと起き上がり、脱ぎ捨てた下履きを身に着けた。
「はぁ・・・」
 物憂げなため息を一つ漏らして刀を地面から引き抜き、背中の鞘に収める。
 彼女の表情からして、この行為をさほど好んでいない事は明らかだった。
 確かに触手に嬲られている間は快感がある。しかし、それが終わったあとは空しさだけが残るのだ。
(わたしは何の為にこんな事をしているのだ?)
 自問自答しても答えは出ない。
 ここには静音に敵対するものは居ない。
 そして、味方も居なかった。

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