神殿の中庭は美しい色彩に飾られ、陣営を問わぬ戦士と奴隷達が思い思いに座り、談笑する、暖かな空間となっていた。
 中庭を囲む回廊から円柱越しにその様子を見て、シャルリアンは改めて喜びを噛みしめた。
 ”祝福”は、ただ儀礼を指す言葉ではないのだ。

 巨大なケーキを囲んで、サワナと小さな二人の獣メイド達が、忙しそうに仕上げに取りかかっている。最後の飾りを載せようとするサワナを、軽々と持ち上げたのは、ジェナという名のザラ勢の戦士だ。ルーレットの周りではトーニャザイナが何かのゲームに興じ、シシャールが同じ色の肌をしたラーガシュと何事か話をしている。
 上座に並んで座るのは、ルキナとザラ。どちらの瞳にも、敵愾心のカケラもない。
 カナディアはいない。なぜか…少しだけ…寂しさがよぎるが、レーナのことを考えれば、その方がいいのかも知れない。

 シャルリアンは回廊を抜け、ルキナとザラから見下ろされる、神殿の中央へと足を運んだ。
 時を同じく、戦士達の談笑が止み、彼方から拍手が沸き起こった。
 純白のドレスに身を包み。赤い竜の背に腰掛けて。
 シャルレーナは、静かに目を伏せたまま、中庭を歩き出した。
 花束を持ったパスナパが続く。レードルゼナが駆け出してきて、シャルレーナのヴェールの端を持つ。

 シャルレーナは神殿と中庭と繋ぐ階段の前でラディアンスから降りると、自らの脚で階段を昇った。
「…レーナ」
「…お姉ちゃん」

 鐘が、いくつも重なり合いながら、鳴り響いた。


***


「不肖私ユリアが、お二方の国に近い司祭ということで、儀礼の進行を務めさせていただきます。シオン=ヴァイアランス様のご加護を」
 胸元のルーンを指で押さえ、ユリアが短く祈りを捧げた。
 ”祝福の儀”。二つの陣営の者達に見守られる中、エクセリアス姉妹はヴァイアランス神の祝福を戴こうとしていた。
 トーニャの聖歌が甘く高く中庭に響き、ユリアの先導に続いて祈りの言葉が上げられる。
 どの儀式でも行われるそれらのことを終えると、ユリアは目を開き、二人に話しかけた。
「では、これよりヴァイアランス神への誓約を行います。まず、シャルレーナ様」
「はい」
 シャルレーナはユリアの方を向くと、痛々しいほど張りつめたペニスに手を添えて、返事をした。
「混沌の央に座するシオン=ヴァイアランスに仕えし、エクセリアス=シェルビナイト=シャル=レーナ。戦士として、汝の奴隷に永遠の証を刻みなさい。汝の奴隷の胎が満ちるまで、誓いの精液を」
「は…はい……」
 シャルレーナは声をうわずらせ、ヴェールの上からでも分かるほど頬を赤らめながら、姉と向き合った。
 射精を禁じるリングピアスを施されているのは、シャルレーナも同じ。あれだけの絶倫なのだ……自分と同じか、あるいはそれ以上に辛いのだろう。
「レーナ…」
 何をすべきかは分かっている。シャルリアンは立ったまま脚を左右に開くと、シャルレーナの腰をひきよせ、己れの秘唇をくつろげた。
 糸を引く…というより太い棒が滑り落ちるように、濃い愛液がレーナのペニスに降りかかった。シャルレーナは小さな悲鳴を上げながら、シャルリアンの豊かな胸にしがみつく。髪とドレスに焚きしめられた香りが、シャルリアンの鼻孔をくすぐった。
「お姉ちゃん…入れるよ……」
 シャルレーナは美しい碧の瞳を潤ませながら、強く腰を突きだした。
「はひうぅぅっ!」
「きゃふううっ!」

 姉妹はあられもない声を上げながら、壇の上で固く抱きしめ合った。
 儀式の話が出て以来禁欲し、欲情しきっていたシャルリアンの性器は、強い圧迫を与えつつも一気に妹の剛直を飲み込んだ。花弁を巻き込み、子宮口を突き上げる挿入に、たまらず喉から空気が洩れる。だが、その存在感があまりに愛しかった。嬉しかった。
「お姉ちゃん…すごい……私のちんちん、しゃぶってる……」
 シャルレーナが快楽のあまり虚ろな目を見せながら、つぶやいた。
 禁欲と愛情と、大勢の視線に全身を貫かれている興奮が、シャルリアンの膣を蠢かせていた。それは自分でも分かるほどあからさまに、妹のペニスを吸い上げ、甘噛みし、先端から洩れる先走りすら逃すまいと吸い付いている。
 その動きを前戯として悦ぶかのように、シャルレーナは動かない。

「あの…」
 小さく、ユリアが二人に言った。
「シャルリアンさんの子宮が…その、せ、精液でいっぱいになると、証のルーンが出ます。時間がかかっても構いませんので、何度も射精、して下さい」
 ユリアのアドバイスに小さくうなずくと、シャルレーナはついに抽送を始めた。
「く…はっ……ぁ…ああああああっ!!!
 シャルリアンの濡れた叫びが、中庭に木霊した。
 柔らかな肉粒を、妹の硬い肉がすりつぶしていく。たまらず、腰が砕けた。けれど失禁したように愛液で濡れるシャルリアンの太ももを、妹はしっかとつかみ、腰を打ち付ける。
 軽い絶頂が立て続けに訪れ、自分のペニスに溜まった重さがまた増した。これ以上快楽を詰め込まれたら、気が狂ってしまう。
「レーナ…ダメだ…もうっ……私はぁぁっ……!」
「お姉ちゃん! おねえ…ちゃん……私も…すぐに出ちゃう! ずっと我慢してたんだもん! ドクドク出ちゃうよおお!」
 恥ずかしげもなく淫らな言葉を叫びながら、シャルレーナは腰を速めた。
 もう…限界……
 遠のく意識が、腹腔の熱さで引き戻された。
「おねぇ…ゃ……っ」
 息も絶え絶えに絶頂を迎えるシャルレーナのシャフトから、間欠泉のような熱と勢いで、精液が撃ち出された。
 激しすぎる快感は終息し、ヴァイアランスの調教を受けた者の子宮が知る、特有のとろけるような快感が、下腹に広がっていく。
「出ちゃうよ……たくさん……出ちゃうよお……」
 シャルレーナの射精はリズミカルにいつまでも続き……優に一分ほど、二人は動かなかった。
「……ぁ…」
 薄目を開けたシャルリアンは、ユリアの立つ祭壇に輝くルーンが幻出しているのを見て、顔をさらに赤らめる。
 たった一度の射精で、子宮は満たされてしまったのだ。シャルリアンの子宮を埋め尽くした濃厚な精液は、たちまち秘唇から逆流すると、舞闘家の逞しい太ももと、純白のストッキングを汚していった。
 戦士達の、賞賛とも苦笑ともつかぬざわめきが、耳に刺さる。姉妹は互いの顔を見合わせると、恥ずかしさを隠すように笑みを浮かべた。
「あ…あの、えっと。……あ、戦士・エクセリアス=シェルビナイト=シャル=レーナよ、汝の証は刻まれた!」
 面食らった表情のユリアが我に返ったのか、慌てて聖句を続けた。
「では…混沌の央に座するシオン=ヴァイアランスに仕えし、エクセリアス=シェルビナイト=シャル=リアン。奴隷として、汝の主に永遠の証を刻みなさい。汝の主の胎が満ちるまで、誓いの精液を」
「……はい……」
 ついに、この時が。
 シャルリアンは妹のペニスをゆっくりと自分から抜くと、熱と重さのあまり感覚の薄れたペニスを、そっと握った。


***


 下半身が重い。
 見慣れた、あの白い粘液……両性具有を表す一つの象徴が、自分の中で次々と生産されているのが分かる。
 腹が膨らむわけではない。一定の量を越えたら、おそらく濃縮されているのだ。…その一定の量すら、どれだけ大量なのか分からないけれど。

 シャルレーナは反り返ったペニスを握りしめ、なんとか角度を落としてレーナへの挿入を可能にしようと、力を込めた。
 血管が太く醜く幾本も浮き上がり、濁った先走りが射精同然に鈴口から噴出する。居並ぶ客達から、惚れ惚れしたかのような溜め息がもれた。
「お姉ちゃん……すごい……」
 熱い溜め息は、シャルレーナも同じ。いやそれ以上に、間近で感じる妹の吐息は、熱い。狂おしいほどに熱い。
 たまらない欲情がこみ上げた。自分の中に溜まりきった子種を、愛する妹の胎内に注ぎ、注ぎ、注ぎ尽くすのだ。何という……甘美な行為だろう。
 ヴィランデル様は、ずっとそうしていたのだ。ルキナ様達は、ずっとこんな欲情でもって自分を抱いていたのだ。
 そうだ。両性具有であるなら、そうするだろう。今の自分が昔の自分に出会ったなら……恐らくその舞闘家を賞賛しつつ、たっぷりと抱き、犯し、悦びを分かち合っただろう。

「はぁっ……」
 もはや言葉も出なかった。
 シャルリアンは妹の背に太い腕を回し、その張りのある尻を両手でつかんだ。絶妙な弾力と柔らかさが、指すら欲情させる。そのまま指を滑らせ、シャルレーナの秘所へ。愛撫をせねばという思いと、灼けるような欲望が、指先を小刻みに震わせた。
「…………っ!?」
 そこで、シャルリアンの指は止まった。
 この窮屈さ……この、硬さは……?

「…ルキナ様が…プ、プレゼントだって…迷宮の一番偉い人に頼んで……時間を、操って下さったの」
 シャルレーナはわずかに怯えたように抱きつきながら、途切れ途切れに言った。
「レーナ…まさか……」
「一年半前…そこだけ、戻ってるの……だ、だから……は…初めてだから……」

 破瓜。
 自分が…妹の処女を……貫くことができるのだ。
 夢にまでみた妹の処女の胎内に、自分の童貞の精液を、撃ち込むことができる。
 涙が溢れ出た。
 ああ……
 シャルリアンは……神殿に来て初めて、自分からヴァイアランスに祈った。

「わ…かった……レーナ……」
 シャルリアンはレーナの耳元でささやくと、指で小さな性器をこねた。柔らかな大陰唇に包まれた処女の性器は、小さく開いたラビアからたっぷりと愛液を漏らし、これ以上愛撫の必要がないことを教えていた。
「行くぞ……」
 張りつめたペニスが、妹の膣口に押し当てられた。もう一度、射精の如く先走りが迸る。それは妹の愛液と混じり合いながら、幼い膣の中へと染み込んでいった。
「お姉ちゃん……レーナの処女のおまんこを……たくさん、味わって下さい……」
 レーナの言葉が終わるか終わらないかのうちに、その唇には姉の唇が重なっていた。
 そしてシャルリアンは、鼓動まで止まるかという一瞬の覚悟の後、妹を貫いた。
 口の中に広がる妹の絶叫は、甘く柔らかだった。


「お姉ちゃん……痛いよ…とっても痛いの……でも、でも気持ちいいよお! 嬉しいよおぉ!!」 
 叫びながら涙をこぼす妹を抱き、シャルレーナ自身も、泣いていた。
 悦びと快楽が螺旋になって背骨を駆け上がり、エルフの心を溶かし尽くす。
 挿入する途中で、もう射精していた。レーナの処女膜はシャルリアンの精通の精液にまみれながら、愛らしい音を立てて裂けた。処女のみずみずしい愛液と、濃厚すぎる精液が胎内で絡まって、シャルリアンの太いペニスを奥へと導く。子宮口に鈴口が押しつけられると、それはまっすぐに、大量の子種を、血を分けた子宮の中へと流し込み始めた。
「これが…これっ…が……レーナの……おまんこ……レーナ……レーナあああ!」
 生まれて初めて味わう射精の快感は、一瞬でシャルリアンの全身を犯し、その理性を狂わせた。
 シャルリアンはその場に妹を押し倒すと、舞闘家らしいバネの効いた腰で、弓の弦が弾けるように出し入れを始めた。ずっと、射精している。もちろん、数秒も経たぬうちに、レーナの子宮が満たされたことを示すルーンが現れた。
「あ、あのっ…シャルリアンさん…」
「いいよ、ユリア」
 戸惑うユリアを、ルキナが柔らかく制止した。
「シャルの好きなだけ、させてあげて。レーナが壊れないように、ボクらが見てるからさ」
「ええ。ほら…見てご覧なさい。美しい……そう、ヴァイアランス様の教えにふさわしく美しい……光景ですわ」
 ルキナとザラが笑みを見せ、客達が息を呑む。
 もちろん…その全てが、姉妹には聞こえなかった。


***


 レーナのおまんこが、信じられないほどに締まっていく。処女に戻っても、肉体自体に染みついた混沌の力は衰えないのだ。
 入り口が小刻みに収縮して、シャルリアンの幹を締め付けた。肉襞が深く絡みつきながら、二人の混合液をペニスに塗りたくる。
「おお……おおおおおおっ!!」
 シャルリアンは雄叫びに近い声を出しながら、途切れない射精の新たな高まりを感じた。
 妹の膣の上壁にたっぷりと精液を塗りつけ、シャルリアンは新たな抽送に入った。

 姉のペニスが、どんどん膨れ上がっていく。いや、自分の肉管が締まっているのか。
 それは寸分の隙すら許さないように、密着し、絡みつき、一つになっていく。汚れを知らなかった処女の生殖器が、細胞一つも残さずに、姉に汚されていく。
「お姉ちゃん…もっと…レーナを犯して! お姉ちゃんの匂いが一生取れないくらい!!」
 シャルレーナは泣き叫びながら、大きな胸を姉の巨乳に押しつけ、股間の粘膜にさらに力を込めた。
 傷口の痛みはたちまち快感に変換され、何度目とも知れぬ愛液の潮が、姉の逞しい胴体を濡らした。

 そうして姉妹は溶け合っていく。
 一つに…………


***


 意識がぼんやりと戻る頃には、自分達の周りはすっかり皆に囲まれていた。
 倒れ込んだ床は、すでに体液の海になっている。
 心配そうにのぞき込む者。欲情して自分のペニスをしごいている者。すでにまぐわい始めている者。
「……っ……レー……ナ……」
 シャルリアンは跳ねるように起きあがると、妹を抱き起こした。
「ぉ……ねえ…ちゃん……」
 桜色の唇が微笑む。妹を傷つけたのではという恐怖が、一瞬で安堵に変わった。
 口づけを交わした二人は、すまなそうに居並ぶ面々の顔を見上げた。
「あ…ルキナ様…ザラ様…ユリア……私達は……」
「たった5分かそこそこですわ!」
 一段高い席から見下ろすザラが、不機嫌そうに言い放った。けれどすぐに、不機嫌だった眉をくるりと変えると、二人に微笑んで見せる。
「5分でそこまでなるなんて……一体どんな風に交わったのか……不思議なくらいですわね」
「さ、二人とも、まだ儀式は続いてるよ。ユリア、仕上げを」
「はい、ルキナ様!」
 ルキナに命じられた女司祭は、懐から小さな金色の鎖を取り出すと、姉妹の側にしゃがみこんだ。
「誓いは為された。汝らに、永遠の絆を」
 そして鎖を器用に操ると、姉妹それぞれのペニスについた、ピアスに通した。
 射精を終えても萎えない二人のペニスは、金色の鎖で繋がれたことになる。
「それはヴァイアランス様の魔法の鎖。長さも変わるし、必要な時は実体をなくせる。でも……永久に消えることはない。二人を繋ぐ、”祝福”の証だよ」
 ルキナが満面の笑みをたたえながら、座から飛び降りた。
「さあ立って二人とも! さあ祝って、みんな! 今日、今からシャルは、シャルレーナの奴隷だよ!」



 ルキナの声と共に、歓声が湧き上がった。数名の戦士が手を貸して姉妹を立ち上がらせ、寄り添う二人に次々と祝福の言葉が投げかけられる。
 シャルリアンとシャルレーナは繋がれた互いの体を確認し、見つめ合うと…静かに、唇を重ねた。

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