伊娃……帝国人の耳には、その名はエ=ワともィ=ワとも聞こえる……と出会ったのは、リュカーナが混沌の戦士となって間もない頃だった。
双頭蛇と相討ち、その肉体と融合することで蘇生したリュカーナ。いかに混沌に帰依したとはいえ、己の肉体が半分大蛇になるという経験は、あまりに受け入れ難かった。
己の体がおぞましい。こんな体で、どうして快楽を貪れというのだ。
そんな時期だ。伊娃に出会ったのは。
遙か東方、鵬帝国の血を引くという伊娃は、美しい半蛇の戦士だった。
リュカーナと同じ、鍛え上げ引き締められた剣士の肉体。鎧から溢れる豊かな胸。蠱惑的な笑み。規則正しくいくつもならぶ蛇腹の腹筋。濡れ光る紫金の鱗。
美しかった。
自分の身のおぞましさなど、一瞬で吹き飛んだ。心中で荒れ狂う想いを言葉に出来ない、口べたなリュカーナを、伊娃は抱きしめてくれた。
二人は互いの体を絡め合い、幾晩も交わった。リュカーナの処女を貫いた大蛇の巨根は、リュカーナ自身のよりも逞しかった。
続く蜜月。剣の修行と肉の絡まりだけが繰り返される日々。それはそう、伊娃がリュカーナに飽きて去っていった日まで……
「エワ姐……今さら、何の用ですか!? 今の私は、偉大なるケイオスヒーロー・ザラ様の戦士。返答次第では、エワ姐でもここを通すわけにはいきません!」
早鐘となった胸を虚勢で隠しつつ、リュカーナは叫んだ。
「変わらないのね、我的愛人……自分の情を隠せない所はそのまま…」
伊娃は光る刃を肩にかけると、妖しく身をくねらせた。胸もとから大蛇の腹へとうねる腹筋が、股間で揺れる長大なペニスが、リュカーナの記憶を揺さぶる。
かつて愛した大蛇の、冷たいぬくもり。
股と尻に小さく開いた交接器の入り口から、トロトロと粘液が溢れ出した。
「リュカーナ、下がれ。事情は知らないが、お前ではまともに戦えまい」
天狼剣の黄金の輝きが、セリオスの手で閃いた。
一度はザラに屈した魔騎士セリオス……だが、その剣技と淫虐の性は衰えることを知らない。伊娃の肉体と血の匂いを思うのか、セリオスの男根はそそり立ち震えていた。
「剣士殿、通していただけない? 公主ルキナ様に礼をとらなくてはならないの」
「ルキナ…に…!? エワ姐…ルキナに……」
恐れていた言葉が、リュカーナの思考を白く凍り付かせた。
だがそれを聞いたセリオスは、ますます笑みを大きくして間合いを詰める。
伊娃の表情も変わった。リュカーナとの再会を喜ぶ感傷的な空気が、たちまち剣士のそれとなって張りつめる。
砂塵。
リュカーナの眼には、舞い狂う鮮血が見えた。
「そこまでだ!!」
「双方剣を収めよ!」
「当階層において流血の争いはまかりならぬと、迷宮主様よりの厳重なお達しである!!」
幻影は、衛兵達がテレポートする爆音でかき消された。
輝く甲冑と魔導兵器に身を包んだ三人の両性具有者が、寸分の隙もなく伊娃とセリオスを包囲している。
非常時とあらば魔神ですら撃滅する、迷宮の衛兵である。いかに混沌の戦士であっても、敵う相手ではない。
舌打ちして剣を収めるセリオスをよそに、伊娃は微笑みを残して神殿へと這っていった。
「再見、愛人」
一瞬振り向く紫の瞳が、リュカーナの視界に焼き付く。
体の中で沸き上がっていく、エワ姐のぬくもり、ラディ姐の力強さ、それぞれの言葉、それぞれの声……
手が白くなるほど魔剣を握りしめるリュカーナ。
聖戦は、まだ序章でしかない。
オールドワールド・キャセイ帝国系の血を引くケイオスウォリアー。その片親は龍族だと言う。
かつて守護者ティー=トゥーイェンから手ほどきを受けたほどの使い手で、荒れ狂う剣技の威力がその通り名となっている。
オールドワールドのスラーネッシュ軍勢にいた頃、リュカーナと深い関係にあったらしいが……
剣技とは対照的に、その性格は優美にして妖艶。母国語混じりの言葉を使う。
聞いて驚け見て驚け、なんと中国語圏の方からの投稿なのです!
ペンネームは「龍虎」さんのよう。言葉の壁をここまで越えて、スラーネッシュ神殿を見て下さる方がいたとは……本当に光栄ですね。
そして実力も十分、見て下さいこの美麗なCGを。写実系にして美人な容貌に、Rebisも驚きの肉体美、そして大蛇の下半身とは……
設定などの問い合わせがひとまずできないので、今回はリュカーナの関連キャラということで登場していただきました。
龍虎さん、ありがとうございました! 謝謝!(で、いいのかな…?)